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パックンの風刺画コラム Superpower Satire (USA)
ロシア疑惑の黒塗り資料に浮かび上がるトランプの影(パックン)
Many Redactions, One Deduction (c) 2018 ROGERS─ANDREWS McMEEL SYNDICATION
<事件の背景や詳細を描く資料からは、事件の中心人物としてのトランプの姿が見えてくる>
クリスマス前にプレゼント交換が始まった! マイケル・フリン元大統領補佐官は、2016年の米大統領選挙へのロシア介入などを捜査するロバート・ムラー特別検察官に、19回にもわたる聴取で有力な情報をあげた。代わりにムラーは、FBIへの偽証の罪を認めていたフリンに「実刑を求刑しない」というプレゼントをくれた。もともと悪い子でも、いい子になると報われる! 子供の夢が崩れそうなクリスマス・ストーリーだけど。
同時期に、ドナルド・トランプ大統領の元顧問弁護士で、連邦議会への偽証を認めていたマイケル・コーエンもムラーの捜査に協力し、代わりに求刑を軽減してもらった。ただしコーエンは別途捜査中のニューヨークの連邦検察には協力しなかったので、こちらの検察官は厳しい量刑を求めた。プレゼント交換、不成立!
さらに同時期に、もっと悪い子が出た。銀行詐欺などで有罪評決を受けていたトランプの元選対本部長ポール・マナフォートは終身刑を回避するため、トランプに関する情報をムラーに全て話すと約束し、司法取引に合意。しかしその後、虚偽供述を繰り返し、さらにトランプの側近と連絡を取り続けていたという。当然、ムラーは怒り、合意を破ったとして取引を取り消すことにした。プレゼント回収!
この3件の動きはどれも最近、ムラーが裁判所に提出した資料から明らかになったもの。どれも複雑で幅広い捜査の核心に迫る有力な情報源だが、残念ながら、どれもひどいほど黒塗りされている。現職大統領に関する情報をなるべく出さないようにしている趣旨はもちろん分かる。例えば、そこでは実名ではなくIndividual 1(個人1)が使われることが多い。しかし、その定義として「後に大統領になった候補」などとなっているため、誰もがトランプだと分かる。黒塗りされてこそ、黒く見えるのだ。
風刺画が指摘するとおり、一部しか読めなくても、事件の背景や詳細を描く資料から、事件の中心人物としてのトランプの姿がはっきり見えてくる。ただ、違う見方をする人がいるのも事実だ。資料公表を受けて、「これで完全に大統領の無罪確定だ!」と......大統領本人がツイートしている。サンタを信じても、この見方は信じないほうがいいと思う。
【ポイント】
REDACTED
編集済みの
DEFENDANT
被告
SENTENCING
判決言い渡し
<本誌2018年12月25日号掲載>
※12月25日号(12月18日発売)は「中国発グローバルアプリ TikTokの衝撃」特集。あなたの知らない急成長動画SNS「TikTok(ティックトック)」の仕組み・経済圏・危険性。なぜ中国から世界に広がったのか。なぜ10代・20代はハマるのか。中国、日本、タイ、アメリカでの取材から、その「衝撃」を解き明かす――。
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