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風刺画で読み解く中国の現実 Superpower Satire (CHINA)
生徒が教師を告発、芸能人の「推し活」を規制...習近平の「文革」の中身
©2021 REBEL PEPPER/WANG LIMING FOR NEWSWEEK JAPAN
<毛沢東による文化大革命と、不気味なほど符合する習近平の方針。中国はあの恐るべき歴史を繰り返そうとしているのか>
「文革2.0時代は本当に始まったのか」──今の中国ネットで最も注目されている話題である。
学校の先生が政府を批判したら、すぐさま生徒が告発する。歴史学者が共産党史や新中国の歴史を疑問視したら、「歴史虚無主義」として批判され、アカウントを凍結される。先日は、ある人気俳優が何年か前にSNS上に投稿した1枚の日本旅行の写真を基に告発された。撮影場所が靖国神社だとネットユーザーらに特定されたからだ。
大連では日本式複合商業施設「盛唐・小京都」が突然休業した。古き良き日本情緒を大連に再現するため、地元政府の許可を得た60億人民元のこのプロジェクトは、オープンして1週間もたたないうちに閉じてしまった。
10年前だったら、こういった民族主義的風潮に対して、必ず「公共知識人」と言われる自由派の人々が批判し、最低限の言論空間を保つことができた。だが習近平(シー・チンピン)政権になって以来、自由派たちは逮捕されたか口を封じられ、中国ネットではますます極端な主張がはびこっている。
芸能界とスターのファンに対する管理強化や「共同富裕」「第3次分配」の方針も富裕層を不安にさせている。特に「文革2.0」到来を感じさせたのは、李光満(リー・コアンマン)という人物の個人投稿だ。李は定年退職した元編集者だが、政府の一連の政策を「重要な変革」「人民のための変革」と賛美した彼の投稿が、官製メディアに次々シェアされた。
このやり方は、人々に文化大革命を思い出させた。毛沢東も北京大学の講師だった聶元梓(ニエ・ユアンツー)に大学当局を批判する壁新聞を掲示させ、文革の闘争を本格化した。「外国かぶれ」を打倒するのも紅衛兵の常套手段だった。
文革は毛沢東が自らの権力を固めるために仕掛けた大衆運動だ。そして、習近平は毛のまねが好きだ。国家主席終身制と個人崇拝......。党内の反対派を粛清するため習が徹底的に毛を見習い、「文革2.0」を仕掛ける可能性は十分ある。
毛の妻で文革を主導した「四人組」の1人だった江青は元女優、習の妻である彭麗媛(ポン・リーユアン)は元歌手である。何とも不気味な一致だ。
ポイント
第3次分配
市場原則に基づく経済活動による富の分配を第1次、政府の徴税や社会保障による再分配を第2次、個人や団体が寄付や慈善活動で富を分与することを第3次分配とする考え方。
聶元梓
1921年河南省生まれ。北京大学講師だった1966年、大学指導部を批判する壁新聞を学内に掲示。毛沢東が評価し、造反派のリーダーに祭り上げられた。文革終了後の78年に逮捕。
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