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メドベージェフは後継本命から後退...プーチンが絶大な信頼を置く「影の実力者」とは
1. セルゲイ・キリエンコ(大統領府第1副長官)
ここで問題。史上最年少でロシアの首相になったのは誰?
答えは私も教鞭を執ったロシア国家経済・公共政策大統領アカデミーの卒業生で、1998年4月に35歳で首相に就任したキリエンコ(60)だ。首相として大規模な経済改革に挑むも失敗し、政府は同年8月にデフォルト(債務不履行)を宣言した。
責任を取って首相を辞したキリエンコは翌99年にモスクワ市長選に出馬して敗退。だが同時に行われた議会選挙で「右派連合」を率いて、下院議員に当選した。右派連合とは、民営化を推進した実業家兼政治家のアナトリー・チュバイスを頭脳に擁する右派リベラル勢力の政党だ。
プーチンが大統領に就任してからは、出世街道を突き進んだ。沿ボルガ連邦管区の全権代表を経て国営原子力企業ロスアトムの社長を10年務め、2016年に内政を統括する大統領府第1副長官に任じられた。
ウクライナ侵攻ではルハンスク(ルガンスク)州、ドネツク州の親ロ派武装勢力との連携を担当し、占領や併合に関する任務に当たる。プロパガンダまがいのスピン報道やイメージ操作を取り仕切ってもいる。
キリエンコが陰の実力者であることに疑問の余地はない。連邦の知事を選んできたのも彼で、トゥーラやカリーニングラードの州知事は次世代の後継者として名前が上がる。
プーチンはキリエンコに絶大な信頼を置いているとされ、キリエンコも大統領に取り入るのが非常にうまい。安全保障を根拠にもっともらしい言葉を連ねてウクライナ侵攻を支持しつつ、リベラルな経済改革派としての信任も厚い。
5月には「全ロシアの母」だという赤旗を持った老婆の銅像を、ドネツク州マリウポリに建立。占領地を視察する姿からは、カメラを味方に付ける才能がうかがえる。もしウクライナ侵攻がプーチンの歴史的遺産になるなら、キリエンコは同地での巧みなPR戦略により後継者争いを一歩リードするだろう。
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