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組織心理学の若き権威、アダム・グラントに聞く「成功」の知恵
そこでウィークスは丁重に「化学の仕組み」を説明しようと持ち掛け、「そっちの目標を教えてくれ!」と言った。「それを達成できるかもしれない3つの異なる方法を考えて、どんな特性があるのか説明するから、どれがうまくいきそうか言ってくれ。それで一緒に問題を解決できる」
これこそ、リーダーとのあるべき付き合い方だ。より一般的な表現に変えれば、「あなたのアイデアがどのように機能するかを教えてくれ」「あなたにとっての潜在的な障害は何か」「あなたの貴重な時間を無駄にしないため、問題を回避する専門知識を持つ人を見つける手伝いをさせてほしい」といった感じだろうか。
ポトリッキオ 誰もが今年身に付けるべきスキルを教えてほしい。
グラント 1つは統計学。もし自分が教育の世界を自由に変えられるとしたら、三角法(三角関数とその応用)を捨てて統計学に置き換える。なぜなら私たちは毎日、統計を解釈しなければならないからだ。私たちの社会は統計に対する理解がとても低い。これは大問題だと思う。
もう1つは、即興を学ぶこと。なぜなら、人生における成功や幸福の多くは即興によって実現できることだから。面接での会話でも教室でも、私たちのやりとりや決断はほとんど台本どおりにはいかない。状況に適応し、臨機応変に立ち位置を変えられるようになれば、見つめ直すこともより簡単になるだろう。
ポトリッキオ あなたが書いた『GIVE&TAKE 「与える人」こそ成功する時代』(邦訳・三笠書房)、『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』(同)、『OPTION B(オプションB)逆境、レジリエンス、そして喜び』(邦訳・日本経済新聞出版、共著)、そして『THINK AGAIN』以外に、この1年間に読むべき本は?グラント アマンダ・リプリーが書いた『ハイ・コンフリクト(HighConflict)』、オリバー・バークマンの『4000週間(Four ThousandWeeks)』、そしていま読んでいるのが、8月刊行予定のシャンテル・プラットの『あなたの神経科学(TheNeuroscience of You)』。これは私がこれまで読んだ中で脳についての最高の本だ。
ポトリッキオ 最後に、成功と幸福をどうすれば切り分けられるのか。
グラント たいていの人は、成功とは目標を達成することだと考えている。私はそれを見直した。私にとって、成功とは自分の価値観を生きること。つまり、いくらお金を稼いでも、権力や地位を手に入れても、自分にとって大切な原則を曲げなくてはならないのであれば、大した意味はない。
自分の価値観を生きることを成功と定義すれば、もっと幸せになれる方法で目標を追求し、人生に意味を持たせることができる。
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