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米ロ首脳会談の勝者はプーチンか、バイデンか
首脳会談終了後、記者会見に応じるプーチン(6月16日)ALEXANDER ZEMLIANICHENKOーPOOLーREUTERS
<「米大統領をたたきのめす我らがリーダー」を期待していた愛国主義的ロシア人の願いはかなわなかったが......>
米ロ首脳会談が6月16日に始まったとき、私はクレムリンのすぐ近くでコーヒーを飲みながら、ロシア人の友人が携帯電話で見せてくれたバイデン米大統領のミーム(ネット上で拡散する画像やフレーズなど)を眺めていた。
この友人の一番のおすすめは画面を2分割したミームで、片方は首脳会談中のバイデンが自分の手をちらりと見ている写真。もう片方はロシアのプーチン大統領の名前を書いた手書き文字の画像だった。
1年ちょっと前にバイデンが民主党の大統領候補指名を確実にすると、ロシアの友人の多くはバイデンで大丈夫なのかと問い掛け、知力の衰えを指摘した。首脳会談前の彼らは、プーチンとバイデンのミスマッチを期待して面白がっているようだった。
バイデンは本格的な首脳外交デビューとなったG7サミットで多忙なスケジュールをこなした後、最も経験豊富な国際政治の大物と対峙することになる。一方、プーチンはクリントン以降の全ての米大統領と派手にやりあった経験を持ち、国際政治の主役の1人であり続けている。
愛国心の強いロシア人の友人の1人は、シャープでエネルギッシュなプーチンが「スリーピー・ジョー」をたたきのめす場面を想像して舌なめずりしているようだった。
だが今回の首脳会談では、パフォーマンスに極端な差はなかった。プーチンが2国間に信頼の「兆し」が見えたと述べると、バイデンは即座に「これは信頼の問題ではなく、自己利益の問題だ」と強調した。
会談前のバイデンは首脳会談という晴れ舞台をプーチンに提供したことや、ロシアとドイツを結ぶパイプラインに関連した制裁を見送ったことでアメリカの対ロシア強硬派を激怒させ、苦しい立場に追い込まれていた。
一方で、中東に対するロシアの影響力や米中対決、核軍縮などの問題を考えると、米ロ関係をこれ以上悪化させるわけにはいかなかった。バイデンはこの難しい綱渡りを成功させ、国際舞台で十分に通用することを証明した。実際、友人のロシア人愛国主義者は首脳会談後、この話題に全く触れなくなった。
ただし、この会談はプーチンにとってもプラスだった。今のロシアはG8から追い出され、欧米からほとんどのけ者にされている。世界的な威信の失墜は、プーチンの名声に打撃を与えていた。だが米ロ首脳会談の終了後、すぐさまEUの2大国フランスとドイツが同様の首脳会談を呼び掛けた。
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