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ワクチン接種が進まない日本へ送るアメリカ人の応援歌
日本のワクチン接種が一挙に加速して、東京五輪中止論者を黙らせる? KIM KYUNG HOONーREUTERS
<国務省の「渡航禁止」勧告によって公然と恥をかいた日本だが、コロナ対策で必ず巻き返す力を持っている>
日本を訪れたときの忘れ得ない思い出はいくつもあるが、その中でも特に深く記憶に刻まれている出来事が2つある。
1つは、ある朝、東京の六本木ヒルズにあるスターバックスで経験した出来事だ。まだ時差ぼけが抜けない妻が、買ったばかりのコーヒーを床にこぼしてしまった。すると、妻が紙ナプキンを取りに行こうとするよりも早く、すぐに代わりのコーヒーが用意され、床のコーヒーもいつの間にかきれいに拭き取られていた。
とてもテキパキとしたスムーズな対応だった。丁重な物腰でさりげなくコーヒーのカップを手渡されて妻が目を丸くしている間に、片付けは全て終わっていた。誰かが掃除してくれていることに気付く暇すらなかった。これが「職人」の仕事ぶりだと、このとき私を東京に招いた米国務省のベテラン職員は説明した。
その日本がいま新型コロナウイルス感染症への対応に苦戦しているのを目の当たりにして、私は信じ難い思いでいる。
とりわけ問題視されているのがワクチン接種の遅れだ。戦争に匹敵する非常時であるにもかかわらず、日本の政府はワクチンの承認プロセスを十分に加速させてこなかった。
ワクチンの安全性と有効性を確保することは極めて重要だが、慎重な承認プロセスを維持したことが原因で、日本は大きなツケを払わされている。ファイザー製のワクチンが承認されたのは、アメリカで使用が許可されてから2カ月遅れだった。
アメリカが素早くワクチン接種を進められたのは、官僚主義の徹底した破壊と仰天のアイデアだ。連邦政府と民間企業が強制的に連携され、接種者に巨額の賞金を出した州もある。ほかの先進国から大きく遅れていながら、日本はこうした大胆な政策を打ってこなかった。
しかし、日本はきっと巻き返すと、私は思っている。日本でのもう1つの忘れ難い経験がその理由だ。東京五輪の中止を求める声が高まっているが、そうした論者は驚かされることになるだろう。
私がその経験をしたのは、日本の政財界の有力者の前でアメリカ政治について講演したときだった。講演を聞いていた有力者のコメントに対して、私はデータと歴史上の事例をふんだんに挙げて強力に反論した。いささか直接的で、ぶっきらぼうな言い方をしたかもしれない。
講演の後、私は力強く自説を展開できたことにかなり満足していた。ところが、ある米国務省官僚にたしなめられた。私の態度は公衆の面前で相手に恥をかかせるものだ、というのだ。私としては率直な議論のつもりだったのだが、相手の日本人のメンツをつぶしてしまったのである。
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