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アメリカ人は東京五輪の開催をどう考えている?

7月23日の開会式まであと2カ月だが……AP/AFLO
<圧倒的な勝利を収め続けてきたスポーツ大国の意外な世論と、開催可否に悩む日本への直言>
日本は新型コロナウイルス感染拡大の第4波に見舞われ、1年延期した東京五輪の開催を危ぶむ声が広がっている。ワクチンの接種は始まったが、感染者数と死者数は大幅に増加を続け、新規感染者数は連日5000人を上回っている。日本国内の世論を見ても、予定どおり開催できるという意見は4分の1以下だ。
一方、過去の大会で圧倒的な強さを誇ってきたアメリカでも、国民や政府が五輪開催を熱望しているようには見えない。
実は数十年前に比べ、五輪に対するアメリカ人の関心は大幅に低下している。2016年の世論調査では、51%が五輪中継を熱心に見るつもりはないと答え、開催国を知っている回答者も半分以下だった。
競技面で最も成功を収めている国があまり興味を示さなくなっているのであれば、大会が中止になっても大した騒ぎにはなりそうにない。
五輪開催を最も望んでいるはずのアスリートたちも、世界中から1万人の選手や関係者が集まるイベントの危険性を訴え始めている。なかでも最も目立つスター選手が最も弱気になっているようだ。
女子テニスの4大大会で4度の優勝経験を持つ日本の大坂なおみは、世界で最も稼ぐ女性アスリートであり、東京大会での金メダル獲得が有力視される最も「市場性の高い」五輪代表選手だが、この夏に大会が開催できると確信できずにいる。
2016年リオデジャネイロ五輪で銅メダルを獲得した男子テニスの錦織圭も、パンデミック(世界的大流行)に対する日本の対応に疑問を投げ掛け、大会開催への不安を口にした。
女子テニスで歴代最高の選手であり、今も世界で最も有名なセリーナ・ウィリアムズも、リスクの上昇を理由に五輪参加を明言していない。
それでも人間心理を考えれば、東京五輪は予定どおり開催される公算が大きい。理由は、程度の差はあれ誰もが陥る「サンクコスト(埋没費用)の誤謬」だ。人は何かのために資源や労力を投じると、途中で止めることをひどく嫌う。たとえそれが正しい判断であったとしても、だ。
錦織やウイリアムズのように五輪開催への疑問を口にするアスリートは圧倒的少数派だ。開催を確信できない大坂の昨年の年収は約40億円。五輪の金メダル獲得は本人の夢だったとしても、4大大会優勝に比べれば小さな成功であり、年収にはほとんど影響しない。
五輪不参加は、大坂にとっては取るに足りないことなのだ。しかし、五輪に参加するほとんどのスポーツには、億万長者のチャンピオンはいない。選手の大半は、キャリアの頂点が五輪であるアマチュアだ。
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