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日米首脳会談:菅義偉が国際政治のスターになる日
派手さはないが国際政治のカギを握る存在に?RODRIGO REYES MARINーPOOLーREUTERS
<のちの歴史家が菅政権を重要な転機だったと位置付けても不思議ではない理由とは>
長らく安倍晋三前首相の番頭を務めてきた菅義偉首相は当初、内政で強みを見せるとみられていた。だが新型コロナ対策でのつまずきを見ると、勝機は外交にあるのかもしれない。その始まりは日米首脳会談だ。
日本の首相が近隣諸国以外で最初の外国訪問先としてアメリカを選ぶことは、これまでも珍しくなかった。しかし、4月16日にワシントンで予定されている菅首相とバイデン米大統領の首脳会談には特筆すべき点がある。菅は、バイデンが大統領就任後初めて直接対面する外国首脳なのだ。
菅が一般のアメリカ国民の間ではほとんど無名の存在であることを考えるとなおさら、今回の首脳会談はバイデン政権が菅を極めて重視していることの表れとみていい。
過去20年間の世界各国の外交政策を採点するとすれば、日本は世界の優等生と言える。日本政府は、政治的対立に深入りすることを避けつつ、摩擦と紛争の絶えない世界で巧みに進路を選び取り、通商関係の深刻な断絶を経験せずにやってきた。
今日の国際情勢の下、日本が極めて難しい地政学上の綱渡りを強いられていることを考えると、この点はひときわ目を見張る。米中対立が深刻化するなかで、インド太平洋地域の安全保障でアメリカとの連携を強める一方、中国への輸出も着実に増やしてきた。この偉業はもっと評価されていい。
こうした成果により、日本の外交関係者は自信を深めているようだ。日本の大物政治家などは日本もアメリカに追従して、台湾との関係強化や台湾防衛に乗り出す可能性を示唆している。
菅はバイデンとの会談の後、インドとフィリピンへの訪問も予定している。中国の攻撃的な姿勢を牽制するために、地域の国々の連合体を築くことを目指す明確なメッセージだ。この動きは、菅が昨年秋の就任早々にベトナムとインドネシアを訪れたことの延長線上にある。
当然、こうした動きに中国は神経をとがらせている。中国側は菅の訪米を前に、日本がこれまでの経済最優先の外交路線を放棄すれば、重大な結果を招きかねないという趣旨の警告を発している。
100年に1度の感染症危機と言われる新型コロナウイルス危機、人類の存亡に関わる気候変動問題、さらにはここにきて深刻さが増している世界的な半導体不足......。首脳会談でバイデンと菅が取り組まなくてはならない課題は山積している。
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