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43歳でスーパーボウルを制したブレイディに学ぶリーダーシップ
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どの「チーム」よりも多くのスーパーボウル優勝を成し遂げたブレイディ BRIAN SNYDERーREUTERS
<ベテラン選手として見せた司令塔の心得はアメフトやスポーツの世界にとどまらない>
トム・ブレイディを「勝者の中の勝者」と呼んでもいいだろう。
2月7日、NFL(米プロフットボール)の年間王者決定戦「スーパーボウル」でタンパベイ・バッカニアーズがカンザスシティー・チーフスを破り、ブレイディは前季まで在籍したニューイングランド・ペイトリオッツ時代と合わせて7度目の栄冠に輝いた。7度の優勝は、NFLのどのチームよりも多い。来年、8度目の優勝を果たせば、子供時代の憧れであるジョー・モンタナの2倍の優勝回数を記録することになる。
ブレイディを「数々の逆境をはねのけた男」として描くこともできる。バッカニアーズのクオーターバック(QB)として、世界屈指のQBであるドリュー・ブリーズ、アーロン・ロジャース、パトリック・マホームズが率いるチームを立て続けに破り、ポストシーズンに精彩を欠いていたバッカニアーズを優勝に導いたのだ。
ブレイディを「超人」と位置付けることもできる。43歳のQBがスーパーボウルを制したのは史上最高齢だ(それまでの最高齢記録もブレイディが持っていた)。昨シーズンまでの70年間にNFLで43歳のQBが成功させたタッチダウンパス(TDパス)は合計21回だったが、ブレイディは今シーズン、1人で40回成功させた。
ブレイディの偉業からは、スポーツの世界に限定されないリーダーシップの教訓を引き出すことができる。
1.何歳になっても学び続けよ。ブレイディはペイトリオッツにとどまってもっと優勝を重ねることも目指せたが、不振にあえぐバッカニアーズに移籍する道を選び、新しいチーム文化と戦略を積極的に学んだ。ブレイディが年を重ねて逆に若返っているように見えるのは、新しいものごとを学ぶことに貪欲だからだ。
2. 勤勉は才能に勝る。NFLドラフトのブレイディの指名順位は199位。屈強でもなく、スピードがあるわけでもなかったからだ。QBとしてレギュラーを獲得するとは、誰も予想していなかった。しかし、徹底した食事管理、独特なストレッチ、シーズンオフの自主トレなど、勤勉に努力を重ねることにより、史上最高のQBと呼ばれるまでになったのだ。
3. 世間の評価に関係なく、信用すべき人を信じる。ブレイディは、今年のスーパーボウルで3つのTDパスを成功させた。パスの相手は、全て昔のチームメイトだった。2つのタッチダウンを決めたロブ・グロンコウスキーは、2年前にけがで引退したが、ブレイディと一緒に戦うために現役復帰した。最後のタッチダウンを決めたアントニオ・ブラウンは、度重なるスキャンダルが原因で所属チームが決まらずにいた選手だ。
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