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時代遅れでポンコツのアメリカ大統領選挙はこう変えよ
では、単に選挙が上手な人物ではなく、真の統治能力を持った人物を選ぶために有効なシステムを設計するには、どうすればいいのか。それは難しくない。大統領選のプロセスに、スポーツ選手のランキングのような仕組みと、テレビの無人島サバイバル番組のような設定を取り入れればいい(いずれもアメリカ人の大好物だ)。
その上で2段階の選考過程により、候補者をふるいに掛けることを提案したい。選考プロセスの第1段階は、大統領選投票日の3年近く前に始まる。大統領を目指す候補者たちはこの期間に、スキルを競い合う大会に参加し、マネジメント手腕の査定を受け、コミュニケーション能力も採点される。
まず、スキルに関しては、テレビのクイズ番組のような形式で内政と外交に関する知識量を競う大会や、未来のことを予測する能力を競う大会など、いくつかのトーナメントを行う。大統領を務めるためには、豊富な知識が不可欠だ。日本の外相の名前やNATO(北大西洋条約機構)の設立理由を答えられない人に、大統領になってもらっては困る。
400万人超の職員を擁する行政機構のトップ
それに、大統領には為替相場や株式相場の動向について平均以上の予測能力を持っていてほしい。少なくともその程度の予測能力を持っていない人に、国のリーダーは務まらない。高い予測能力は良質な意思決定の土台だ。経営コンサルタントたちが有力企業の経営チームの力量に目を光らせるのと同じように、大統領を目指す人たちのマネジメント手腕も厳しく点検されるべきだろう。
何しろ、アメリカ大統領は400万人を超す職員を擁する行政機構のトップなのだ。その人物は、正しい問いを発することができているか。部下に適切なフィードバックを行っているか。本当に優秀な人物をスタッフに登用しているか。組織づくりはうまくいっているか。こうしたことを確認すべきだ。
さらに、大統領を目指す人は、高度な説得力を持ち、国民の心を動かせなくてはならない。人々に思わず耳を傾けさせるようなコミュニケーション能力を持っている必要があるのだ。その人物は、高い言語運用能力と即興での対処能力を併せ持っているか。聞き手の五感に働き掛けると同時に、客観的なデータに基づいて話すことができるか。このような点を見極めたい。
この第1段階は、約18カ月間にわたって行う。スキルを精査するためにも、予測能力を試すためにも、これくらいの期間が必要だからだ。最終的にそれぞれの候補者に点数を付け、スポーツ選手のようにランク分けを行う。
例えば、その年の大統領選に名乗りを上げた候補者が20人いたとすれば、上位5人がリーグA、次の5人がリーグB、その次の5人がリーグC、最下層の5人がリーグDという具合に振り分けられる。
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