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時代遅れでポンコツのアメリカ大統領選挙はこう変えよ
党派的選択 トランプとバイデンのテレビ討論会を見 守る人々(10月22日)MIKE BLAKEーREUTERS
<お祭り騒ぎの選挙集会や瞬発力がものを言う討論会でリーダーの資質は見抜けない。本当の勝者を選ぶにはスポーツとサバイバル番組の要素が必要>
11月3日のアメリカ大統領選投票日は、アメリカ現代史の中で政治的主張が最も激しくぶつかり合った日として歴史に記憶されるかもしれない。
しかし、この政治的論争と対立の時代に、大半の人の意見が一致することがある。それは、アメリカ大統領の選考方法が大統領の重責と釣り合っていない、という点だ。現在の選挙システムでは、大統領が有権者の失望を買うことが避けられない。アメリカは大統領選びの方法を考え直すべきだ。
現在の選挙プロセスは、候補者の統治能力とは全く関係のないことをめぐる争いに終始している。大統領選を勝ち抜いて大統領の座を手にするのは、選挙運動を最も上手に行った候補者だ。それが「よい大統領」になる資質を持った人物だとは限らない。アメリカ大統領は、軍の最高司令官、行政機構の最高責任者、国民の声の代弁者、与党の指導者、世界のリーダーなど、実にさまざまな重い責務を担っている。
しかも近年、大統領が対処しなくてはならない課題は、より手ごわく、より多くなっている。それなのに、現状の大統領選びのプロセスでは、こうした難題に対処する実務能力の持ち主がホワイトハウスの主になる保証がない。
大統領選の仕組みを変えるべきだといっても、有権者が国のリーダーを選ぶ権利を否定し、政治学者に人選を任せろと言いたいわけではない。むしろ、イデオロギー対立の影響を弱めることにより、一般市民が担う役割を強めるべきと、私は考えている。
有権者は資質を軽視?
2017年にドナルド・トランプが大統領に就任した9カ月後、ワシントン・ポスト紙とメリーランド大学が共同で実施した世論調査は、政治リーダーに対する国民の根深い不信感を浮き彫りにした。この調査によれば、政治家の倫理観と高潔性について好ましいと評価をしている人は14%にすぎない。
71 %の人は、アメリカの政治は落ちるところまで落ちてしまったと考えている。しかも、大多数の人は、この状態が一時的な現象ではなく、ずっと続くとみている。最近の世論調査によれば、トランプとジョー・バイデンのどちらが今回の大統領選で勝っても、アメリカ人のなんと40%はその人物を正当な勝者と認めるつもりがない。
どうして、こんなことが起きているのか。大半のアメリカ人は、自分と異なる政党の支持者が生きている世界を想像することすらできなくなっているのだ。直近2人の大統領に対する野党支持層の支持率は驚くほど低い。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領や北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長よりも人気がないくらいだ。
アメリカの政治的二極化が進んだ結果、大多数の国民は政治的イデオロギーに基づいて選挙で一票を投じるようになっている。最も有能な候補者に投票したと主張するかもしれないが、実際には低レベルの党派的選択をしているにすぎない。
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