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51番目の州を目指す首都ワシントンの知られざる苦悩
70万人の住民の主権者としての権利が侵害されている AOLDMAN/ISTOCK
<連邦議会へ代表者を送る権利が奪われてから200年以上、不平等はなぜ続くのか>
私は、連邦議会のプログラムでワシントンに招待された国内外の訪問団に講演する機会がよくある。そうした講演では、アメリカという国の基本理念は「機会の平等」を大切にする精神だと説明する。全ての国民は、民主的な政府に自らの意思を反映させる権利を等しく保障される、と。
こうした高邁な理念を述べるとき、私はいつも矛盾を感じずにいられない。その矛盾は、その日訪問団を乗せてきたタクシーのナンバープレートを見れば分かる。
アメリカの首都ワシントンは、州としての地位を認められていない。これはアメリカ建国の理念に反し、70万人の住民の主権者としての権利を侵害するものだ。ワシントンがアメリカの首都になったのは1790年。このとき、この町の住民は議会選と大統領選の投票権を奪われた(1961年の憲法修正により大統領選の投票権は認められたが、議会に代表を送る権利は認められていない)。
当時、懸念されたのは、首都に州としての地位を認めた場合、連邦政府の公職者が地元の利害を偏重するのではないか、ということだった。こうして、フランスのパリ以上の面積と、アメリカの50州のうち2州より多くの人口を擁し、22州より多くの連邦税を納めている都市の住人は、立法府に代表を送れなくなったのである。
トランプと共和党は「州」化に反対
大半の住民はこの状況に不満を募らせている。それを知っているので、私は講演をするとき、この町を走る自動車のナンバープレートを思い出して心が痛む。
ワシントンは2000年11月、不満を表明するために、ナンバープレートに「代表なくして課税なし」という言葉を記すようにした(アメリカ独立戦争のスローガンになった言葉だ)。17 年には、より強いメッセージを打ち出すために「代表なき課税に終止符を」という表現に変更された。
なぜ、このような時代錯誤がまかり通っているのか。理由はおそらく3つある。
第1に、ワシントンに州としての地位を認めることに反対する人たちは、ワシントンが連邦政府の資金に大きく依存しているので、連邦政府の監督が必要だと主張する。しかし、現在ではワシントン以上に連邦資金に依存している州が21もある。
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