- HOME
- コラム
- プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
- 2020年、自由と民主主義は敗北したのか?
2020年、自由と民主主義は敗北したのか?
環境車もそうです。仮に軽量化したEVを粗製濫造しても、今度は安全面で問題が出ます。またAVに関しても、歩行者を排除し、域内の交通システムに参加するすべての存在にGPSと5Gのコミュニケーションを義務付けるようなネットワーク型のAVに突き進めば、統制社会以外における汎用性は限られます。自動車ビジネスは、社会システムと密接であり、ここでも透明性や世論の理解が求められ、統制だけで押し切れるものではありません。
原発の場合はもっと深刻です。万が一の事故に備えた情報公開態勢に対して世論から信頼を獲得することが大前提です。そこを楽観論や統制で押し切って「ゼロ神話」を作ってしまうと、問題が起きた時に動けなくなるという日本の教訓は中国にも当てはまると思います。
中国という巨大社会が、複数政党制や公選制に移行するのには時間が必要、ということは理解できます。拙速に進めれば、それこそ極端なナショナリズムや軍国主義を暴走させる危険が否定できません。ですが、情報公開や言論の自由という点については、民主社会に大きなメリットがあるのは事実です。また、同じ政策を実行するにあたって民意のオーソライズがあるのと、ないのとでは最終的には実行への抵抗が大きく異なります。
問題は、民意が誤った選択をすることや、選択肢が不足している場合であり、この点において確かに民主主義は危機を抱えているのは事実です。米国の政権交代を機に、この問題が良い方向へ向かうことを望みつつ、新しい年を迎えたいと思います。

アマゾンに飛びます
2025年2月25日号(2月18日発売)は「ウクライナが停戦する日」特集。プーチンとゼレンスキーがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争は本当に終わるのか
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
ニューヨーク市長をめぐる裏切りのドラマがリアルタイムで進行中 2025.02.19
トランプの政策に日本の現状を重ねて共感するのは、とんだお門違い 2025.02.12
石破首相は日米首脳会談でガザ難民受け入れ問題をスルーするべき 2025.02.06
「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由 2025.01.29
驚きの大統領就任演説、インフレ退治を約束したトランプ 2025.01.22
ロス山火事で崩壊の危機、どうなるアメリカの火災保険 2025.01.15
日鉄はUSスチール買収禁止に対して正々堂々、訴訟で勝負すればいい 2025.01.08