プレスリリース

GSアライアンスが、機械的強度が復活する画期的な廃プラ再生技術の事業化を目指す

2021年12月10日(金)10時30分
GSアライアンス株式会社は、この度、廃プラを再生する画期的な技術において、福岡大学からライセンスを受けました。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/286620/LL_img_286620_1.jpg
開発された廃プラ再生技術を用いると、廃プラスチックの靭性が復活する(下の試験片)

現在、廃棄されたプラスチックが世界の多くの地域で環境汚染を引き起こしていますが、この課題解決には高度なリサイクル技術の確立が不可欠です。廃プラのリサイクルには、サーマルリサイクル、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルの主に3つの手法があります。サーマルリサイクルは実質廃プラを燃焼して燃料源として使用しているだけで理想のリサイクル法とは言えず、特に海外であまり好まれていません。またケミカルリサイクルは理想ですが、コストが高くなるという欠点があります。

福岡大学の八尾 滋教授は、これまで高分子物理の視点から研究を行い、物性低下の原因は主鎖の破断などによる化学劣化ではなく、プラスチック内部の結晶構造変異による物理劣化であること、さらに成形プロセスの最適化により物性は大きく向上させることができ、選別精度が良い場合には新しい樹脂ペレット並みに再生できることを世界で初めて理論、実験的に明らかにしました。さらに、高度物性再生に適用できる新たな押出機の考案も行い、この押出機を用いることでこれまでの生産速度を維持したまま、高性能なリサイクル製品を生産することが可能になることも明らかにしました。

これまでは、プラスチック製品は数年から十年以上使用すると、引張強度や靭性などの機械的強度が低下していくのが当たり前で、通常の方法で再生ペレットを製造しても、機械的強度は弱いままで、これらの再生ペレットを用いた成形品の用途などは限られていました。つまり、弱い再生ペレットだけで成形品を作っても、強度が弱いので使えない場合が多いのです。しかしながらこの技術は、特に靭性などを改良してプラスチックの機械的強度を新しい樹脂ペレット並みに復活することができる画期的な技術です。この技術を用いた廃プラスチックを用いることにより、これまで強度が弱く成形できなかった成形品などが、再び廃プラだけで成形できる可能性があります。
またこの手法はいわゆるマテリアルリサイクル法の1つでもあり、コストも安く、今後、マテリアルリサイクル、ひいては廃プラ業界のリサイクル効率が飛躍的に高くなる可能性があります。

GSアライアンス株式会社は、この度、上記の技術を福岡大学からライセンスを受け、この技術を実行できる押出機も自社内に設置しました。材料やリサイクルの条件によっては、まだ強度が回復せず、技術が未熟な部分もあり、まだ検討が必要であるものの、今後は、設置した実験機を用いた廃プラ再生樹脂ペレットの試作、製造受託や、その材料の機械的強度の測定受託、成形品の検討、そして、この画期的な技術を用いた量産事業化を目指していきます。

GSアライアンス株式会社は脱炭素社会構築に向けた具体的な最先端技術(天然バイオマス系生分解性樹脂、バイオコーティング剤、バイオマスインク、次世代型二次電池、燃料電池、太陽電池、人工光合成など)を提供することをビジョンとしており、UNIDOのプラットフォームであるSTePPやWIPO GREENなどの国連関連機関に登録されている技術もあります。またGSアライアンスは現在、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指すスタートアップ企業として採択されており(UNOPS GIC KOBE)、国連機関の支援の下、国内外の事業展開を進めています。


【会社概要】
商号 : GSアライアンス株式会社(Green Science Alliance Co., Ltd)
(冨士色素株式会社グループ)
代表者 : 代表取締役 森 良平 博士(工学)
所在地 : 〒666-0015 兵庫県川西市小花2-22-11
事業内容: 脱炭素社会構築のための環境、エネルギー分野の最先端材料、
技術の研究開発
URL : https://www.gsalliance.co.jp/


詳細はこちら
プレスリリース提供元:@Press
今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ停戦へ前向きなメッセージ受け取る、実現は

ワールド

メキシコ大統領「即時報復せず」、米の鉄鋼・アルミ関

ワールド

欧州5カ国の国防相が会談、防衛力強化やウクライナ安

ビジネス

カナダ中銀0.25%利下げ、トランプ関税で「新たな
MAGAZINE
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
2025年3月18日号(3/11発売)

3Dマッピング、レーダー探査......新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 2
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「腸の不調」の原因とは?
  • 3
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 4
    株価下落、政権幹部不和......いきなり吹き始めたト…
  • 5
    SF映画みたいだけど「大迷惑」...スペースXの宇宙船…
  • 6
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 7
    トランプ第2期政権は支離滅裂で同盟国に無礼で中国の…
  • 8
    113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎…
  • 9
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 10
    「トランプの資産も安全ではない」トランプが所有す…
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 3
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 4
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 5
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 6
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 7
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 8
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 9
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 10
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中