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【写真特集】ウトヤ島乱射事件、惨劇の被害者との10年目の再会
ONE DAY IN HISTORY
Photographs by ANDREA GJESTVANG
イルバ・シュウェンケ (当時15歳)
<今も3分の1以上がPTSDに苦しみ、テロの背景となった極右的憎悪の検証を望んでいる>
2011年7月22日、ノルウェーの爆破・銃乱射テロで77人の命が奪われてから今年で10年。労働党・青年部(AUF)のサマーキャンプが行われていたウトヤ島での銃乱射では、犠牲者69人のほとんどが子供や若者だった。
翌年8月に独立調査委員会が発表した報告書は、政府と警察の対応を激しく批判。警察は首都オスロの政府庁舎爆破を防げたし、もっと早くウトヤ島に到着して犯人アンネシュ・ブレイビクを捕らえられたはずだと結論付けた。
私はテロ後の数カ月間に、銃撃を生き延びた若者43人を撮影し、12年に写真集『歴史上のある一日』として出版した。それから9年がたち、彼らの何人かを再び撮った。
パートナーや子供たちと静かに暮らしている人もいれば、政治家になった人もいる。よりよい世界を目指して闘っている人もいる。今もPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しむ人は3分の1以上。多くの生存者が、テロの背景にある価値観や陰謀説、極右的な憎悪の検証を望んでいる。
――アンドレア・イェストバン
【イルバ・シュウェンケ (当時15歳〈冒頭写真〉/ 現在24歳〈上〉)】
殺戮が起きている間、イルバは「恋人の小道」(下の写真)の近くに隠れていたが、肩と腹部、両ももを撃たれた。事件後、彼女はこう語っていた。「この傷痕に誇りを持っている。自分が信じるものと引き換えに受けたものだから。私が意気消沈しても誰のためにもならないし、まして自分のためにならない。だから私は毅然と振る舞い、人生の楽しいことに集中する」
現在はジャーナリストとして働き、秋には大学の修士課程に進む。「いま悩んでいるのは、どう生きるべきか分からないといった20代にありがちな問題。つらいときや、困難にぶつかったときは自分にこう言う──あなたは14歳で死んでいたかもしれないのだ、と。今は問題があっても、少なくとも生きている。そう考えると、物事をより広い視点で見られる」
過去の自分にはこうアドバイスする。「将来、とても多くの善良な人に出会うだろう。与えられたチャンスに挑戦し、旅をして、働き、修士号を取る。幸せを感じても、やましく思わなくていい。事件のことが遠く感じられるようになったら、以前と同じく日常の小さなことが気になるだろう。でもそれは事件を忘れたわけではなく、違う形で思い出しているだけだ」
【トルヘ・ハンセン (当時14歳〈上〉/ 現在23歳〈下〉)】
銃撃テロに遭った当時、トルヘは14歳。サマーキャンプ参加者の中で最年少だった。
トルヘは兄ビリヤルと、数人の若者と共に「恋人の小道」の下に隠れていたが、兄が撃たれると湖へ泳ぎだした。だが銃弾が飛んできたため、方向転換して水中に潜り、その後ボートに助けられた。
現在は若者や子供相手の仕事をし、音楽やアート作品を作っている。「暗闇が生きる力をくれると、僕はずっと思っていた。苦痛や死のこと、人はいつ死んでもおかしくないという事実が頭から離れない。未来のことは考えない。成功しようという野心なんて僕には必要ない。今を十分楽しんでいるから」
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