Picture Power

世界報道写真コンテスト 大賞は「アラブの春」から

2012 World Press Photo Contest

Photographs by WPP contest winners

世界報道写真コンテスト 大賞は「アラブの春」から

2012 World Press Photo Contest

Photographs by WPP contest winners

大賞:サレハ大統領への抗議行動の中負傷した親族を抱きかかえる女性(サヌア、イエメン 10月15日)Samuel Aranda, Spain, for The New York Times

 2月10日、世界報道写真(World Press Photo)財団(本部・オランダ)が選ぶ第55回世界報道写真賞の各賞が発表になった。

 大賞は、中東各地で発生した「アラブの春」の中、サミュエル・アランダがイエメンで撮影した野戦病院と化したモスクの中で傷ついた親族を抱きかかえる女性の写真 [上のスライドショー1番]が受賞した。審査員長のエイダン・サリバン(ゲッティイメージズ副社長)は「心に強く訴える慈悲深い瞬間、そして今も進行する巨大な出来事に支払わされる人間の代償を捉えている。私たちはこの女性が誰なのかはわからないままかも知れない。しかし、彼女と抱かれた親族は、重大な歴史の一章を創った庶民たちの勇気の生き写しにふさわしい」と語る。

 本誌からは、契約写真家アレックス・マヨーリ [8]、パオロ・ペレグリン [9](ともにマグナム所属)、連載ピクチャー・パワーからドナルド・ウェバー(セブン)、サイモン・ノーフォーク(インスティテュート)などが受賞。日本からは、津波が街を飲み込む瞬間をヘリコプターから捉えた手塚耕一郎(毎日新聞)をはじめ、恒成利幸 [20](朝日新聞)、千葉康由 [13](AFP通信)が東日本大震災を伝えた写真で入賞した。

 毎年行われる世界最大級の報道写真コンテストで、124カ国の写真家5.247人から10万1254点の作品が寄せられた。

(追記:後に大賞作品の「親族」は女性の息子と判明しました)

 世界報道写真(World Press Photo)財団

 関連記事
世界報道写真コンテスト 大賞は「鼻と耳を削がれた女性」
世界報道写真大賞を狙え---コンテスト直前ゼミ
世界報道写真コンテスト 「抗議の叫び」が大賞に
世界報道写真コンテスト:審査の裏側

MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中