Picture Power

開発の激流がのみ込むモザンビークの未来

MINING IN MOZAMBIQUE

Photographs by KADIR VAN LOHUIZEN

開発の激流がのみ込むモザンビークの未来

MINING IN MOZAMBIQUE

Photographs by KADIR VAN LOHUIZEN

インド国営企業により4086ヘクタールもの土地で採掘が行われる内陸部テテ州の炭鉱。鉄道で港に運ばれ、インドなどに輸送される

アフリカ南部のモザンビークは、今後10年間で最も高い経済成長が期待される国の1つ。92年まで長い内戦に苦しめられた国の成長を担うのは、石炭や天然ガスなど豊富な天然資源だ。

内戦当時にはまだ発見されていなかった資源は現在、日本を含む外国企業から多額の投資を呼び込んでいる。ブラジルの資源開発大手ヴァーレは、保有する炭鉱を将来的に年間採掘量2200万トンという世界最大級の規模へ拡大させる計画を描く。

写真家のカディル・ファン・ロホイゼンは、爆発的な成長を見せる石炭採掘の現場を写真に収めた。そこから見えてくるのは急激に開発されていく国の姿と、その一方で生活の激変を迫られる住民たちの姿だ。

周囲をフェンスで囲まれた広大な炭鉱、採掘された石炭を運ぶために新設された鉄道、海外に資源を輸出するための港湾施設。こうした開発の激流に押し流されるように、周辺の住民たちは立ち退きを余儀なくされる。

世界的な化石燃料離れと資源価格の低迷が続くなかでも、その質の高さから需要の拡大が見込まれるモザンビークの資源。その存在は、この国と国民をどこに導くのだろうか。


撮影:カディル・ファン・ロホイゼン
1963年オランダ生まれ。88年からフォトジャーナリストとして、世界の社会問題や紛争を取材する。近著に1年かけてアメリカ大陸15カ国の移民を追った作品集『Vía PanAm』がある。

Photographs by Kadir van Lohuizen-Noor

[本誌2016年10月18日号掲載]



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