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【年末写真集特集1】戦争と平和を往来する旅
Photographs by James Hill
【年末写真集特集1】戦争と平和を往来する旅
Photographs by James Hill
「喜びで満たしてくれる記憶を大切にすると同時に、暴力的で残酷な記憶を消そうとした。しかし戦場に行った多くの写真家と同じように、その亡霊を抑え込むのには苦労した」
ニューヨーク・タイムズのカメラマンで、ピュリツァー賞受賞者のジェームズ・ヒルは写真集『戦争と平和の間で』の中でこう書いている。50枚の写真と一枚一枚の背景について記した手記から成るこの本には、イラク戦争や英ウィリアム王子の結婚式、ローマ法王(教皇)ヨハネ・パウロ2世の死去などさまざまな歴史的瞬間が収められている。その中でも、やはり彼の心に大きな影響を与えたのは戦争や暴力のようだ。
「写真家になると決めた私は、世界のあらゆるものを見たいと思った。喜びも愚かさも、希望も悲しみも捉えたかった。だがそのうち、闇が拡大し始めた」とヒルは書く。「夢の中では繰り返し、虚無の縁へ引きずられる。汗びっしょりで目覚め、生きていることに驚く」
穏やかな日常と、生死の重みが違う苛烈な世界をヒルは行き来する。その旅はいつも「戦争と平和の間にある感情の緩衝地帯」を経由するという。
Photographs from "Somewhere between War and Peace" (Kehrer Verlag) by James Hill
写真集『戦争と平和の間で(Somewhere Between WAR and PEACE)』
<本誌2014年9月2日号掲載>
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