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vol.5
対談 トヨタ自動車株式会社 製品企画本部 ZF チーフエンジニア豊島浩二さん × 国際ジャーナリスト小西克哉さん
パワートレインの未来像
──「適時・適地・適車」という概念にも通じるかと思いますが、トヨタには「全方位」という戦略性がありますね。
豊島 前述したように、多様なエネルギー需要にお応えしたいと考えている私たちは、クリーンディーゼルやガソリン車の燃費向上にも力を入れ、できるだけ多くの選択肢をご提供するようにしています。いずれ特定の分野に絞られていくにしても、そうなったのは「お客さまが選ばれた結果」というのがあるべき姿です。もちろん企業として、特定の分野に特化してしまうことで、それが淘汰されたときに受ける影響を小さくしたいということもありますが。
小西 私たち消費者はつい、「世界市場で生き残るパワートレインはPHVかEVか」といった極端な見方をしてしまいがちですが、地球規模でのニーズが多様であることを考えると、複数のタイプのエコカーは「競合」というより、「共存」をしていくと考えるほうがよさそうですね。
豊島 私たちはまさに「共存」を前提にして、それぞれのエコカーを着実に進化させていくつもりです。そのなかで、エネルギーの輸入国である日本においては、電気もガソリンもフレキシブルに使えるPHVが「最適解」の1つなのではないかということです。
──これまでのエコカーは、社会全体によるサポートを受けながら育ってきたという側面もありますね。
豊島 そのとおりで、プリウスHVも当初は国の補助を受けることで普及し、優遇税制といった政策の後押しもあって、ようやく自立できる段階まできました。もちろん自動車メーカーとしては、国や社会に頼らずに済むよう技術開発に取り組まなければなりません。ただ、生物がいくら進化しても、環境に適応できなければ一代限りで絶滅するのに似ていて、新しいエコカーが自立するには、インフラも含めたそのための社会の整備がどうしても欠かせません。
小西 なるほど。生態系が環境と個体のインタラクションによって成り立っているというのは、車でも同じことなんですね。プリウスの登場から18年たちますが、HVの現在の普及率はどの程度でしょうか。
豊島 世界全体の普及率は数%。日本ではすっかり身近な存在になった感がありますが、世界全体での普及率はまだ数%であり、グローバルレベルではこれからです。
小西 成熟期に達したとみなすには、少なくとも世界シェア2桁は必要ですよね。そう考えると、次世代エコカーは、まだまだ成長期にあるということでしょうか。それでも豊島さんのお話をうかがって、これからの日本でPHVが大きな潮流になり得る、というよりも、そうなるべきだということがよくわかりました。私たちも、PHVに代表される新しいエコカーが、しっかり育っていくのを見守りたいと思います。
豊島 本日はありがとうございました。
■充電電力使用時走行距離は 定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象・渋滞等)や運転方法( 急発進・エアコン使用等)に応じてEV走行距離は大きく異なります。
※1 エンジン、リチウムイオンバッテリーの状態、エアコンの使用状況や運転方法(急発進・所定の車速を越える)、道路状況(登坂)などによっては、バッテリー残量に関わらずEV走行が解除され、エンジンが作動します。
※2 JC08モード(国土交通省審査値)。
■リチウムイオンバッテリーの充電量が少なくなると、停車時でもエンジンがかかります。一部地域では車両の停止中にエンジンを始動させた場合、条例に触れ罰則を受けることがありますので充分にご注意ください。
※3 合計1500W以下の電気製品をご使用ください。ただし、1500W以下の電気製品でも正常に作動しない場合があります。詳しくは販売店におたずねください。
※4 2014年12月末時点。(トヨタ試算)
※5 40年生前後のスギ人工林1ヘクタール(1000本)が1年間に吸収するCO2の量約8.8トン(林野庁HP参照)から換算。