SPECIAL ADVERTISING SECTION

PHVが拓くこれからのモビリティ

vol.5
対談 トヨタ自動車株式会社 製品企画本部 ZF チーフエンジニア豊島浩二さん × 国際ジャーナリスト小西克哉さん
パワートレインの未来像

2015年12月21日(月)10時00分

豊島浩二さん

──「適時・適地・適車」という概念にも通じるかと思いますが、トヨタには「全方位」という戦略性がありますね。
豊島 前述したように、多様なエネルギー需要にお応えしたいと考えている私たちは、クリーンディーゼルやガソリン車の燃費向上にも力を入れ、できるだけ多くの選択肢をご提供するようにしています。いずれ特定の分野に絞られていくにしても、そうなったのは「お客さまが選ばれた結果」というのがあるべき姿です。もちろん企業として、特定の分野に特化してしまうことで、それが淘汰されたときに受ける影響を小さくしたいということもありますが。
小西 私たち消費者はつい、「世界市場で生き残るパワートレインはPHVかEVか」といった極端な見方をしてしまいがちですが、地球規模でのニーズが多様であることを考えると、複数のタイプのエコカーは「競合」というより、「共存」をしていくと考えるほうがよさそうですね。

豊島 私たちはまさに「共存」を前提にして、それぞれのエコカーを着実に進化させていくつもりです。そのなかで、エネルギーの輸入国である日本においては、電気もガソリンもフレキシブルに使えるPHVが「最適解」の1つなのではないかということです。

──これまでのエコカーは、社会全体によるサポートを受けながら育ってきたという側面もありますね。
豊島 そのとおりで、プリウスHVも当初は国の補助を受けることで普及し、優遇税制といった政策の後押しもあって、ようやく自立できる段階まできました。もちろん自動車メーカーとしては、国や社会に頼らずに済むよう技術開発に取り組まなければなりません。ただ、生物がいくら進化しても、環境に適応できなければ一代限りで絶滅するのに似ていて、新しいエコカーが自立するには、インフラも含めたそのための社会の整備がどうしても欠かせません。
小西 なるほど。生態系が環境と個体のインタラクションによって成り立っているというのは、車でも同じことなんですね。プリウスの登場から18年たちますが、HVの現在の普及率はどの程度でしょうか。
豊島 世界全体の普及率は数%。日本ではすっかり身近な存在になった感がありますが、世界全体での普及率はまだ数%であり、グローバルレベルではこれからです。
小西 成熟期に達したとみなすには、少なくとも世界シェア2桁は必要ですよね。そう考えると、次世代エコカーは、まだまだ成長期にあるということでしょうか。それでも豊島さんのお話をうかがって、これからの日本でPHVが大きな潮流になり得る、というよりも、そうなるべきだということがよくわかりました。私たちも、PHVに代表される新しいエコカーが、しっかり育っていくのを見守りたいと思います。
豊島 本日はありがとうございました。

■充電電力使用時走行距離は 定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象・渋滞等)や運転方法( 急発進・エアコン使用等)に応じてEV走行距離は大きく異なります。
※1 エンジン、リチウムイオンバッテリーの状態、エアコンの使用状況や運転方法(急発進・所定の車速を越える)、道路状況(登坂)などによっては、バッテリー残量に関わらずEV走行が解除され、エンジンが作動します。
※2 JC08モード(国土交通省審査値)。
■リチウムイオンバッテリーの充電量が少なくなると、停車時でもエンジンがかかります。一部地域では車両の停止中にエンジンを始動させた場合、条例に触れ罰則を受けることがありますので充分にご注意ください。
※3 合計1500W以下の電気製品をご使用ください。ただし、1500W以下の電気製品でも正常に作動しない場合があります。詳しくは販売店におたずねください。
※4 2014年12月末時点。(トヨタ試算)
※5 40年生前後のスギ人工林1ヘクタール(1000本)が1年間に吸収するCO2の量約8.8トン(林野庁HP参照)から換算。

プロフィール

豊島浩二(とよしま こうじ)

豊島浩二(とよしま こうじ)

トヨタ自動車株式会社 製品企画本部 ZF チーフエンジニア
大阪府出身。1985年トヨタ自動車入社。ボデー設計部を経て2001年よりレクサスLS製品企画室。その後、チーフエンジニアとして欧州向け商用車を担当し、10年にBREV開発室でEVの企画を開始。11年11月、次世代環境車全般を取りまとめる部署「ZF」で、3代目プリウス、プリウスPHVのチーフエンジニアに就任。


小西克哉(こにし かつや)

小西克哉(こにし かつや)

国際ジャーナリスト、国際教養大学客員教授
1954年大阪市出身。東京外国語大学大学院卒業(米国政治)国際学修士。同時通訳者を経て、CNNなどを舞台に国際ジャーナリストとして活動の幅を広げる。TBSラジオ「荒川強啓 デイ・キャッチ!」にコメンテーターとして出演(火曜日担当)。『コラムの花道』(アスペクト)など著書多数。

MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 5
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 9
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中