SPECIAL ADVERTISING SECTION

PHVが拓くこれからのモビリティ

vol.4 東北大学原子分子材料科学高等研究機構准教授 一杉太郎さん
高性能次世代電池「全固体電池で変わる」、次世代モビリティの未来とは

2015年11月24日(火)17時24分

東北大学原子分子材料科学高等研究機構准教授 一杉太郎さん

──各自動車メーカーでは次世代電池の研究にも積極的に取り組んでいます。
 今後、潮流がエコカーへとますますシフトしていくことを考えると、次世代電池開発は自動車メーカーにとって最重要項目に位置づけられます。私が共同研究をしているトヨタ自動車でも全固体電池とリチウム空気電池の研究を進めています。リチウム空気電池は、国のロードマップによると実用化までまだ時間がかかると見込まれていて、近い将来の次世代電池としては全固体電池の実用化が期待されています。

──次世代電池が普及するということは、次世代エコカーもEVが主流になっていくと思われますか。
 EV対PHVということではなく、次世代電池の実用化によってモビリティの電化は確実に進み、PHVは電気以外でも走ることが可能な"より進化したEV"として位置づけられると思います。モビリティの電化によって、世界の自動車産業界はプレイヤーが増えていきます。これはEVだけが伸びるということではなく、PHVなどの次世代エコカー全体の普及につながるはずです。開発と競争が進み、"これまでとは違うプロセスで生み出された次世代電池"をはじめとしたEVの最新技術がPHVなどに応用されることで、さらに次世代エコカーが進化することでしょう。


プリウスPHV──次世代電池の実用化で、私たちのライフスタイルも変わるのでしょうか。
 もちろんです。より安全で充電時間が短くなった電池が開発できれば、高速道路を2時間走って、サービスエリアで10分ほど休憩している間に充電を完了させることも考えられます。すると、一回の充電で走ることができる航続距離はそれほど重要ではなくなります。今後、自動車を充電するためのインフラもさらに整備されることでしょう。そうなれば、ショッピングモールやコンビニなどで、10分くらいで手軽に自動車を充電できる日が来るように思います。カーナビも非常に進歩していますから、充電できる場所をカーナビが案内しながら旅をすることも考えられます。そういった自動車により、我々のライフスタイルはもっと豊かなものになるでしょう。

※1 国土交通省(運輸部門における二酸化炭素排出量の推移)
※2 日本自動車工業会調べ

プロフィール

東北大学原子分子材料科学高等研究機構准教授 一杉太郎さん

一杉太郎(ひとすぎ たろう)

東北大学原子分子材料科学高等研究機構准教授。 1971年生まれ。99年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。96年より日立製作所・基礎研究所のプレドクトラルフェロー、99年にソニーへ入社、2003年から東京大学大学院理学系研究科化学専攻助教・神奈川科学技術アカデミー長谷川プロジェクト非常勤研究員を兼任。現在、東北大学原子分子材料科学高等研究機構准教授、走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いた酸化物薄膜に関する研究、そして、高性能電池に向けた研究を行う。10年に「平成22年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞」、13年に「ゴットフリード・ワグネル賞 秀賞」を受賞。14年に固体電解質と電極間の界面抵抗を非常に小さくすることが可能であることを実証。トヨタ自動車と共同で次世代電池開発に取り組んでいる

MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中