本当のゴールは、第八十八番札所ではなく、和歌山の高… 2016.01.29
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日本唯一のNYタイムズ「行くべき場所」は、文化体験や人との交流が魅力
このお接待には、Fさんに「アリエナイ!」と言わしめた驚きの事実があった。それは、お接待の行い全てが無償であるということだ。
果物をくれる人もいれば、ご飯を振る舞ってくれる人もいるなど、お接待の内容は百人百様。なかには一泊の宿を提供してくれる人までいるそうだ。裏で誰かからお金をもらっているわけではない。自分の思いひとつで全てのものを提供してくれているのである。
いくら世界的に見て日本が安全な国といっても、見ず知らずの他人に無償で宿を提供するなど、他の地方ではなかなか見られない文化ではないか。東京で暮らすFさんも、とても驚いていた。
ここ霊山寺で、新たな旅の仲間が加わった。
お遍路に惹かれて20数年、今では徳島文理大学で四国お遍路の研究をしているカナダ出身のデビッド・モートン先生だ。モートン先生からはその後、「お遍路には見落としがちな見所が実はたくさんある」と、各所で教わることとなった。
例えば、この霊山寺にはその昔、目から"ビーム"を出して悪人を裁いた弘法大師像がいるのだとか。よく探してみると、なるほど確かに、切れ長で眼光鋭い弘法大師像が本堂の奥にいた。
そもそも歴史をひも解くと、「空海」こと弘法大師とお遍路の関係は9世紀にまで遡る。
当時、四国を修行して回っていた弘法大師が、たまたま出会った衛門三郎という男にひどい仕打ちを受ける。その後、その行いに対して重い罰を受けた衛門三郎が、弘法大師に再び会って許しを乞うために彼の後を追いかけて四国中のお寺を訪ね歩いた足跡が、現在のお遍路の起源と言われているのである。
さて、次に訪ねたのは、弘法大師が難産の女性を助けて無事に安産させたという、子宝、安産祈願で有名な第二番札所の極楽寺(ごくらくじ)。ただ、私もFさんも独身でその予定もないため、残念ながら足早に次の札所へ向かうことに。
そしてお遍路の旅1日目の最後のお寺は、第六番札所の安楽寺(あんらくじ)である。安楽寺は温泉山としても知られ、弘法大師がここで温泉を発見し、湯治場にしたことが成り立ちと言われている。もちろん、そのご利益ある温泉に入浴することができる。