- HOME
- コラム
- From the Newsroom
- 海外ドラマ打ち切り続出は想定内
コラム
ニューズウィーク日本版編集部 From the Newsroom
海外ドラマ打ち切り続出は想定内
今年は思いがけず、テレビドラマの大作が次々と消えゆく年になった。ABCの『LOST』は5月23日、FOXの『24』は5月24日で放送を終了。さらに先週、NBCは看板ドラマの『HEROES/ヒーローズ』や20年続いた刑事・法廷ドラマ『Law & Order』を今シーズンで打ち切ると発表した。
どれも近年、テレビドラマの常識を破って大衆を魅了した大作なだけに、放送終了のニュースが続いてジュリアス・シーザー的な気分になった人もいるだろう。確かに一つの転換期を迎えたのかもしれないが、冷静に考えてみれば意外なことは何一つない。
『LOST』はすでに07年にシーズン6で終了すると発表していたし、『24』や『HEROES/ヒーローズ』は下り坂の人気に回復の兆しが見られず、今シーズンも視聴率が低迷を続けていたので、莫大な製作費に見合わないと判断するのは当然ともいえる。
数々の受賞歴を誇り、スピンオフ番組やリメイク版も生み出した『Law & Order』(5月24日に放送終了)も視聴率の低下や内容のマンネリ化に悩まされていたが、一方で長寿人気番組ならではの問題にも直面していた。シリーズの進化版であるスピンオフ番組が2つもあるので、オリジナルの『Law & Order』は昔ながらの路線をキープする必要がある。さらに続きものではなく1回ごとに完結するスタイルなので、乱暴な言い方をすれば最新エピソードも3年前のエピソードも大差なくなってしまう。
それならシリーズを打ち切っても、視聴者にとってはケーブル局などで再放送が見られれば十分だ。「急いで家に帰って見る必要はない。いずれケーブル局で延々と続く再放送のサイクルに入るのだから」と、ニューヨークタイムズ紙のアレッサンドラ・スタンレーは指摘している。
NBCは来シーズンから新たなスピンオフ番組『Law & Order:ロサンゼルス』をスタートする予定。オリジナルが終了した後でも、『スター・トレック』のように続編や映画で巨大シリーズへと発展した例はあるので、本当の勝負はこれから?
――編集部・佐伯直美
この筆者のコラム
COVID-19を正しく恐れるために 2020.06.24
【探しています】山本太郎の出発点「メロリンQ」で「総理を目指す」写真 2019.11.02
戦前は「朝鮮人好き」だった日本が「嫌韓」になった理由 2019.10.09
ニューズウィーク日本版は、編集記者・編集者を募集します 2019.06.20
ニューズウィーク日本版はなぜ、「百田尚樹現象」を特集したのか 2019.05.31
【最新号】望月優大さん長編ルポ――「日本に生きる『移民』のリアル」 2018.12.06
売国奴と罵られる「激辛トウガラシ」の苦難 2014.12.02