*写真はイメージです yamasan - iStockphoto
<恋愛しない、恋愛できない層が可視化されただけ>
先ごろ大きな話題となった「20代の若者のデート経験なし4割」という内閣府「令和4年版男女共同参画白書」を基にしたニュース。テレビでは、いつものように、中年男性たちの街頭インタビューで、「最近の男はだらしがないね」などとお決まりのフレーズが流れていましたが、本当にそうでしょうか。
実際に「最近の若者だけがデートや恋愛をしなくなったわけではない」ということは統計上明らかで、繰り返し私が言ってきたように「いつの時代も恋愛しているのはせいぜい3割程度」という「恋愛強者3割の法則」があります。
今回の内閣府の調査でも、20代男性の「配偶者・恋人のいない割合が65.8%にもなった」と大騒ぎしているのですが、そもそも20代男性の未婚率は86%であり、未婚者全体を100とすれば恋人のいない未婚男性割合は約76%となります。つまり、恋人のいる恋愛強者率は24%ということで、きっちり3割内の範疇に収まります。
かつて、<独身が増え続ける原因を「若者の恋愛離れ」にしたがるメディアの大ウソ>という記事でもご紹介したように、1982年以降の出生動向基本調査による長期推移を見ると、婚約者・恋人がいる率(18~34歳)はおおむね男性20%台、女性30%台で推移しており、若者の「恋人がいる率」は3割前後で変わりません。そもそも、40年間で彼女や彼氏のいる率というのは大体3割程度なものです。念のためグラフを再掲します。
そもそもこのデート率のニュースの元になった内閣府の白書の当該ページ(P51 特-38図 これまでの恋人の人数・デートした人数)のグラフを見ると、確かに20代独身男性のデート経験なしは4割なのですが、あわせて20代既婚男性のデート経験なし率も1割あると書いてあります。これはどういうことでしょう? これら調査対象の既婚者は、一度もデートしたことなく結婚した人が1割もいるということでしょうか。
もちろん、これは回答者が質問の意図を理解していない場合や、そもそもいい加減な回答をする人(どの質問に対しても最初の回答項目だけを選択するなど)も一定数存在するので、そうしたデータがあがってくることは調査ではよくあることです。
しかし、分析や公表するにあたっては、それらを精査調整するのが当然だと思うわけですが、そうした統計の取り扱いの雑さが見えてしまうと、独身者の結果ですら何かしらの誤差や恣意(しい)性を含んでいるのではないかと勘繰りたくなってしまいます。