ドラマ

(ネタバレ注意)グロくて泣ける『イカゲーム』、従来のデスゲームとの違いは?

2021年10月14日(木)18時50分
レベッカ・オニオン
『イカゲーム』

ギフン(中央)たちは子供の遊びを模した恐怖のゲームに参加する YOUNGKYU PARK

<ネットフリックスの韓国発大ヒット作『イカゲーム』は、懐かしい子供の遊びを血みどろの殺人ゲームに>

動画配信サービスのネットフリックスで最近、世界的な大ヒットとなっているのが、韓国のファン・ドンヒョク監督のドラマ『イカゲーム』(全9話)だ(本記事は作品のネタバレを含む)。

主人公のソン・ギフン(イ・ジョンジェ)はギャンブル漬けの中年男。ツキに見放されて借金まみれ、年老いた母から金をくすねる始末だ。幼い娘への誕生日プレゼントはピストル形のライター。クレーンゲームになけなしの金を突っ込んで取れた唯一の景品がこれだったからだ。

ギフンは駅で出会った身なりのいい男から大金を稼げるゲームへの参加を誘われ、迎えの車に乗り込む。車内で催眠ガスを吸わされ、目を覚ますとそこは大きな部屋で、450人を超える人々が集められていた。

運営側の「スタッフ」はギフンたちに、ゲームに勝ち抜いた勝者には巨額の賞金が支給されると説明する。この時点では不明だが、後に賞金額は456億ウォン(約42億円)だと判明する。

ここから血なまぐさい展開が始まる。参加者たちは幼稚園のような明るい色彩の巨大な部屋を通り、広い空き地のような場所に出て「だるまさんが転んだ」の遊びをさせられる。女の子形の気味の悪いロボットが「だるまさんが転んだ!」と言うのだが、言い終わったらすぐに動きを止めないと、銃弾が飛んでくるのがルール。参加者の約半数が命を落としてゲームは終わる。

この番組、人が至近距離で殺される様子を見るのは嫌いだという人にはお薦めできない。結末までに文字どおり数百人が、撃たれたり刺されたり高いところから落とされたりして殺されるのだから。極限状態に置かれた登場人物はひたすら怯え、泣きわめき、身を震わせる。

ひねりのあるデスゲーム

本作はいわゆる「デスゲーム」のジャンルに属する作品だ。1997年の映画『キューブ』とは、そろいの服を着せられ個性を奪われた登場人物たちが命懸けで課題をクリアしていく点が似ているが、『イカゲーム』では運営側のスタッフが姿を見せているし、参加者もずっと多い。

2000年の『バトル・ロワイアル』にも似ているが、本作のゲーム参加者は少年少女ではなく大人。12年の『ハンガー・ゲーム』にも似ているが、本作ではゲームの外の世界は架空のディストピアではなく現実の韓国社会だ。

09年の『GAMER』とは黒幕が自分でリスクを冒すことなく危険を味わいたい金持ちである点は共通している。だが『GAMER』の主人公が遠くから脳を操られて戦うのに対し、本作の登場人物たちは観察されているだけで操られてはいない。

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