中国、2年ぶりのマイナス成長か
若年層失業率は18%にのぼるが、今年はそこに史上最多の1076万人の大学生が卒業して社会に出てくる(写真は2021年6月、武漢の大学の卒業式) REUTERS
<最初のロックダウンで新型コロナを抑え込んだ成功体験が捨てられなかった中国政府は、今年は過剰なロックダウンで経済を大きく傷つけた。それでも中国経済はそこから回復できるのか否か、7月中旬発表の4-7月期の成長率は注目だ>
中国・上海では3月28日から市内を東西に分けて厳しい外出制限を行うロックダウンを実施し、以後5月31日に解除するまで市内のロックダウンが続いた。上海は自動車組立や部品産業など中国の工業の重要な拠点であるため、ロックダウンは中国経済全体に大きなマイナスをもたらした。
中国の自動車生産台数は3月には223万台だったのが、4月には118万台と半分近くまで落ち込み、5月はやや持ち直して186万台だったが、昨年5月と比べて13%少なかった。自動車産業は多数の部品を組み立てる産業であるため、一都市のロックダウンによって産業全体に影響が及ぶ。鉄鋼や化学といった装置産業の場合はそれほど大きなダメージはなかったと思われるが、それでも鉱工業全体の付加価値額は4月には前年同月比マイナス2.9%、5月にはプラス0.7%と低迷が続いた。
また、上海をはじめとするいくつかの都市でロックダウンが起きたため、サービス産業が打撃を受け、サービス産業の生産指数は4月に前年同月比マイナス6.1%、5月はマイナス5.1%となった。この指標がマイナスとなるのは2020年4月以降では初めてである。
史上最多の大卒が失業率を押し上げる?
今年は、3月の全国人民代表大会で年間のGDP成長率に関して「5.5%前後」とかなり強気の目標を設定していた。中国の第1四半期(1~3月)の成長率は4.8%で、目標には届かなかったものの、まずまずの滑り出しであった。だが、4月と5月は鉱工業とサービス産業の状況からみて経済全体としてもマイナス成長であっただろう(GDP成長率は月ごとには計算されていないので、これはあくまで推計である。)
こうした経済の落ち込みは失業の増加をもたらしている。2021年後半、都市部の失業率は4.9~5.1%と、中国としてはまずまずの水準であったが、2022年になってから上昇し、4月には6%を超えた(表1)。特に16~24歳の若者の失業率が非常に高い。もっとも、この年代の都市部の若者のほとんどは大学、短期大学、専門学校などの学生であるので、若年層失業率の計算には入ってこない。ただ、6月末には、史上最多の1076万人の大学生が卒業して社会に出てくる。その直前の段階で、若年層失業率が18%を超えているのは、かなりヤバい状況といわなければならない。
中国政府は落ち込んだ景気を回復させるため、5月31日に「経済を安定させるための包括的措置」として33項目の景気刺激策を打ち出した。
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