コラム
欧州インサイドReport 木村正人
欧州インサイドReport 木村正人

第三次大戦はもう始まっている...「死の4人組」と「戦争の根本的な変質」にどう立ち向かうべきか?

<「英戦略国防見直し(SDR)」は、ドローンやAIなど「新時代の脅威」に対応したものに。すでに第三次大戦が始まっているとも言われるなか、必要

2025.05.31
欧州インサイドReport 木村正人

英政治の「転換」をもたらしたクレッグ元副首相...複数政党制に移行する祖国に語った「教訓」

<2008年の金融危機後、戦時挙国一致内閣以来という連立政権に参加した「リベラルの旗手」ニック・クレッグ氏が、再び転換点に差し掛かったイギリ

2025.05.22
欧州インサイドReport 木村正人

「国を救うヒーロー」になった極右TikTokポピュリストは、なぜルーマニア大統領になれなかった?

<SNSでの扇動的メッセージで若年層からの支持を集めたジョージ・シミオン氏。政治腐敗や経済危機への怒りを背景に躍進したが、最後はトランプに足

2025.05.20
欧州インサイドReport 木村正人

大手ブランドが私たちを「プラスチック中毒」にした? もはやゴミ問題ではなく、健康問題に

<人々が消費する製品や包装材に使われるプラスチックが地球や人類にどう影響しているかを問いかける新著『大手ブランドはいかにして私たちをプラスチ

2025.05.15
欧州インサイドReport 木村正人

お手本は「シンゾー・ドナルド合意」か...英米が締結した、関税削減の協定は「成功例」になれるか?

<貿易戦争で「米国と合意した最初の国」と胸を張るスターマー英首相だが、最終的にはバイデン時代の「クオータ制」に戻ることになるとの見方も> [

2025.05.13
欧州インサイドReport 木村正人

ロシア軍事パレード、昨年からの「大きな変化」が示すプーチンの心情...中露の結束もアピール

<ウクライナ侵攻で使用される自爆ドローンや第3世代主力戦車も公開。プーチンと習近平は隣同士に座り、西側の綻びを浮き彫りにした出席者も> [ロ

2025.05.10
欧州インサイドReport 木村正人

「吐き気がした...」性被害から子供たちを守る、「セックスワーカー保護」で成果を上げる英国の試み

<小学生の女の子のふりをするよう頼む男、携帯に保存した児童虐待の写真を見せる男......。性産業従事者との信頼を深め、児童の性的搾取に関す

2025.05.08
欧州インサイドReport 木村正人

ついに「財政規律の重視」を捨てたドイツ...政治・経済の「危機的状況」を新政権は立て直せるか?

<2年連続の景気後退に陥り、政治の面では連立崩壊、極右躍進と苦しむ「欧州の病人」ドイツ。新政権は財政均衡の「伝統」をアップデートできるか>

2025.05.04
欧州インサイドReport 木村正人

イギリス統一地方選で二大政党が大敗...「英政界の中心」ファラージ氏がここまで「成り上がれた」ワケ

<「天才キャンペイナー」ナイジェル・ファラージを中心とした混沌の渦に飲み込まれつつある英国政治。地方選では「改革英国党」が大幅に議席を増やして躍進した> [ロンドン発]5月1日、イングランド24地方議会の1641議席、6市長を選ぶ英統一地方選と下院議員の補欠選挙が行われた。1世紀にわたって政権を交代してきた労働党と保守党の二大政党が大きく議席を減らし、多党制時代の始まりを予感させた。 台風の目は欧州連合(EU)離脱を主導したナイジェル・ファラージ氏のワンマン政党、改革英国党。2日午前9時時点の開票結果は改革英国党79議席増、昨年の総選挙で地滑り的勝利を収めた労働党13議席減、巻き返しを期す保守党62議席減。改革英国党はわずか6票差で労働党を退けて補欠選挙を制し、市長選でも初めて勝利した。 ファラージ氏は政治家というより毒舌の天才キャンペイナー。ドナルド・トランプ米大統領とも気脈を通じる反移民ポピュリストだ。昨年の政権交代も立役者はキア・スターマー首相(労働党)ではなく、保守党の票を分裂させたファラージ氏だった。 地方議員ネットワークの構築が課題 英国独立党(UKIP)、EU離脱(ブレグジット)党を通して総選挙に7回も落選。昨年ようやく初当選したファラージ氏は「保守党の終わりの始まりだ。次の狙いは労働党だ」と大胆不敵に宣言した。集票マシンとして地方議員ネットワークを構築するのが今回の課題だった。 ===== 「湿った雑巾のよう」とEU大統領をこき下ろす --> 英国流マスタード色ズボンとツイードのジャケット。昼間からパブでパイント(568ミリリットル)グラスのエール(地ビール)を飲み、煙草をくゆらす。赤ら顔でガハハと豪快に笑ってEU離脱を草の根に説いて回る。ファラージ氏のEU離脱貫徹と移民規制を支持する声は根強い。 勤勉なスターマー首相、超エリートのリシ・スナク前首相(保守党)より「政界の道化師」と呼ばれるボリス・ジョンソン元首相(同)に近い。ファラージ氏は裕福な家庭に生まれ、大学に行く代わりに商品相場のトレーダーになった。 「湿った雑巾のようなカリスマ性」とEU大統領をこき下ろす 14歳で保守党に入党するも1992年、ジョン・メージャー首相がEU創設を定めたマーストリヒト条約に署名したことに嫌気が差し、UKIPに加わった。交通事故や病気で生死をさまよい、2010年総選挙では横断幕が小型機の尾翼に絡まって墜落、肺に穴が空く瀕死の重傷を負った。 2番目の妻と別居中で、フランス人の女性政治家と交際を続けている。ベルギーのヘルマン・ファンロンパイ元首相がEU大統領(首脳会議の常任議長)に就任すると「湿った雑巾のようなカリスマ性を持ち、低級な銀行員のような外見」とこき下ろした。 ファラージ氏はほぼすべての選挙区で候補者を立て、どの政党よりも多くの候補者を擁立。次期総選挙を念頭に自由民主党の統一地方選戦略を模倣し、動員力を強化しようとしている。スポンサーは富裕層への優遇税制を期待するテクノロジー投資家や実業家、保守党の大口寄付者だ。 ===== 二大政党制は「今後4年間で挑戦を受けることになる」 --> 二大政党制は「今後4年間で挑戦を受けることになる」 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のサラ・ホボルト教授(英国政治)は「一般的に有権者は政党や政治指導者に対して不満を抱えており、ポピュリスト政党の台頭を招く傾向がある。労働党支持者もスターマー政権の実績を認めていない」と分析する。 不満の理由は生活費の高騰、住宅購入の困難さ、貧困、不平等などだ。多くは生活費の問題で、有権者の一部は「自分は裕福ではない」と感じている。現在の労働党政権はこれらの問題に対処していないとみなされている。特に改革英国党の支持者が重要視するのは移民問題だ。 英国伝統の二大政党制の終焉について「今後4年間で挑戦を受けることになるが、まだ早いかもしれない。それが今回これほどメディアの注目を集めている理由だ。今回の統一地方選が二大政党制を終わらせるわけではないが、今後数年間でそれが起こる可能性はある」と語った。 LSEのトニー・トラバース教授は「1955、59年の総選挙で保守党と労働党の合計得票率は93%を超えていた。しかし昨年の総選挙では57%と長期衰退が続く。2つのブロックに分かれる可能性もあるが現時点では不明だ。目を離せない変化の兆候が芽生えている段階と言える」という。

2025.05.02
欧州インサイドReport 木村正人

スペイン、ポルトガル、南仏「大停電」の原因は「再エネへの移行」?サイバー攻撃めぐるデマも

<交通、航空、通信、病院、銀行など社会インフラが大混乱し、緊急事態も宣言された大停電の原因をめぐり、「ロシアや北朝鮮の攻撃」といった偽情報も

2025.04.30
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 8
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中