コラム

日本に逃れたウクライナ人の声 「PCR検査は自己負担」「日本円がなければどうなったか」

2022年03月29日(火)20時00分

避難民受け入れを表明した日本政府

ウクライナ避難民の受け入れや就労可能な「特定活動1年」の在留資格の付与を表明した日本政府に対し、2人は「一刻も早くこの戦争を終らせるよう動いてほしい」と訴える。一方、娘のオレナさんは「ポーランドに比べて日本の支援が十分とは言えない」と指摘する。

ポーランドではボランティアが無償の食事を提供し、公共交通機関の料金も支払わなくていい。日本では言葉の壁も大きく、実際に設けられた窓口で相談するとなるとなかなか難しい。日本に来るための航空券代だけでも、かなりの出費だ。

エストニアに避難した親戚家族についても日本にすぐに呼び寄せたかったが、日本到着後の生活が不安だし、日本での支援がどこまで受けられるか分からなかったため呼び寄せることはできなかったとオレナさんは肩を落とした。

ウクライナの国外避難民は3月27日時点で386万6224人。受け入れ国別ではポーランドが最も多く229万3833人、ルーマニア59万5868人、モルドバ38万3627人、ハンガリー35万4041人、スロバキア27万5439人、ロシア27万1254人、ベラルーシ9075人の順だ。

日本には25日の時点で204人が到着している(産経新聞)。岸田政権は身元保証人がいなくても特例で入国を認める方針や就労・医療支援を打ち出したが、言葉や生活の不安は残る。和平が短期間で実現すればいいが、中・長期の支援策を示す必要がある。

そのためには日本はウクライナ避難民1人ひとりの声に直接耳を傾けるべきだろう。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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