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コロナ再流行、ワクチン接種義務化の是非をめぐり暴動が吹き荒れる欧州
ブースター接種と自主的なコロナ対策でしのぐイギリス
一方、法的なコロナ対策を完全に取り払ったイギリスでは1日当たり百数十人の死者と1千人未満の入院者が出る状態が続いている。ブースター(3回目)接種を受けた50歳以上で発症の予防効果は93.1~94%に達しているため、今のところ、欧州大陸のようなロックダウンやワクチンパスポートを導入する必要性はないという。
英ウォーリック大学のローレンス・ヤング教授(ウイルス学)は「コロナを抑制するにはワクチンが大きな役割を果たすが、感染者の増加を防ぐには他の介入が必要だ。マスク着用率の低下、寒さによる屋内での活動の増加、免疫力の低下が欧州での感染増につながっている」と分析する。
「英イングランドでの感染者数や入院者数がさらに増加するようであれば、ワクチンパスポートを導入するとともに、風通しの悪い屋内でのマスク着用を義務付けることで感染を制限するしかない。50歳以上や基礎疾患のある人へのブースター接種とともにその他の介入措置を実施すれば、この冬を乗り切る助けになる」という。
日本では戦後、感染症の犠牲者が多数発生し、百日せき、腸チフスなど12疾病を対象に罰則付きの接種が義務付けられた。しかし予防接種による健康被害が社会問題化し、1976年に罰則なしの義務接種に移行した。予防接種禍訴訟で国の敗訴が相次ぎ、94年の予防接種法改正法で義務規定は努力義務規定となり、「社会防衛」から「個人防衛」に軸足を移した。
その後、日本は「ワクチン後進国」になり、2013年、子宮頸がんなどを引き起こすヒトパピローマウイルス(HPV)に対するワクチンの悪影響の恐れが報じられた結果、70%もあった接種率が1%に低下する事件が起きた。この結果、少なくとも2万4600件の子宮頸がん症例と5千人の死亡例が増える恐れがあるという研究結果も報告されている。
コロナワクチンもごくまれに出る深刻な副反応で死亡に至るケースがある。ワクチンパスポートによって事実上、接種を強制することは倫理上の問題を呼び起こす。ワクチンパスポート導入を急ぐと逆にワクチンへの信頼度を低下させてしまう恐れがある。急がば回れ。ワクチンの安全性と効果を根気良く説くことがパンデミックを克服する一番の近道になる。