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日本のサイバー能力はベトナム並み!? 平和憲法の壁を「サイバー同盟」で乗り越えよ
国家ハッカーとの戦いに備えよ PhotoAttractive-iStock.
<英シンクタンクIISSの評価では、日本はとくにサイバーインテリジェンス力と攻撃的サイバー能力で遅れている>
[ロンドン発]英シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)が6月に発表した「サイバー能力・国力評価」で、日米欧と中国、東南アジア諸国など計15カ国の中で日本を最下位の3番手グループにランク付けした。そのメソッドを作ったIISSサイバー担当上級顧問マーカス・ウィレット氏が筆者の「日本のサイバー能力はどうしてそんなに低いのか」という質問に答えた。
ウィレット氏はこう語る。「トップのアメリカを含め15カ国の中にどの分野にも穴がないという完璧な国は存在しない。世界トップ50に入るデジタル企業の数では日本はアメリカに次いで2番目に多く、非常に強い産業基盤を持っている。どの国にも言えることだが、まずサイバーセキュリティーと回復力を向上させる必要がある」
マーカス・ウィレット氏(筆者がスクリーンショット)
「日本が特に考慮しなければならないのはサイバーインテリジェンス(サイバー空間の諜報活動)と攻撃的サイバー能力の2分野だ。歴史的な理由(日本国憲法の平和主義)から他の国と同じようにこの2つの能力を構築できなかった。しかし日本には良い解決策がある。西側諸国と2国間または多国間で同盟関係を結び、協力を得ることができる」
「サイバー空間における同盟で中国やロシアに対して強いメッセージを送ることが可能になる。もちろん中国やロシアも同様に集団的に対応することができる」。アメリカはサイバー攻撃に対して集団的自衛権の行使を宣言しており、日本もアメリカがサイバー攻撃を受けた場合、「武力行使の新3要件を満たせば、武力を行使できる」との立場を鮮明にしている。
サイバー同盟はファイブアイズが軸になる
ウィレット氏による「サイバー能力・国力評価」のランク付けは次の通りだ。
【第1グループ】
アメリカ
【第2グループ】
オーストラリア、カナダ、中国、フランス、イスラエル、ロシア、イギリス
【第3グループ】
インド、インドネシア、イラン、日本、マレーシア、北朝鮮、ベトナム
(IISSのホームページより)
日本では富士通やNECなどITゼネコンによる囲い込みで新規参入が阻まれ、少子高齢化もあって、アメリカの「GAFA」のようなビッグ・テックが育たなかった。デジタルは日本のウィークポイントだ。憲法上の制約から生じたサイバー空間の弱点を補うには、アメリカ以外の西側諸国とも「サイバー同盟」を結べるよう法律上の整理をしておくことが不可欠だ。