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菅首相が「国際公約」にしてしまった東京五輪の現実味 日米首脳会談でも言及
日本のコロナ対策を厳しく批判してきた英キングス・カレッジ・ロンドンの渋谷健司・公衆衛生研究所長らは英医学誌BMJ(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル)に寄稿し、「五輪開催は再考を。ベネフィットとリスクに関する透明性が欠如しており、国際的な大規模イベントはまだ安全ではない」と訴えた。
「世界はまだパンデミックの最中で、変異株は国際的な関心事で世界的にコロナの再流行を引き起こしている。IOCによる五輪参加者へのワクチン接種計画は命を救うのに役立つかもしれないが、ワクチン外交やワクチンナショナリズムを高める恐れがある。アスリート優先は倫理的懸念を引き起こす」
「アジア太平洋の他の国と異なり、日本はまだ感染を封じ込めていない。日本の限られた検査能力とワクチン接種の遅れは政治的リーダーシップの欠如に起因する。医療従事者やハイリスクグループでさえ、五輪前にワクチンを接種してもらえない人がいる」と指摘している。
二階・自民党幹事長も「中止」ほのめかす
自民党の二階俊博幹事長は今月15日、TBSのCS番組の収録で「これ以上とても無理だということだったらこれはもうスパッとやめなきゃいけない。オリンピックでたくさん蔓延(まんえん)させたということになったらなんのためのオリンピックかわからない」と述べた。
渋谷氏らや二階氏の懸念はもっともだ。しかし菅首相の言葉は国際社会では日本と日本国民を代表している。WHOから"中止勧告"でも出ない限り、日本から「止める」とはとても言い出せない。IOCも開催の方針を崩していない。
開催を1年延期した昨年3月に比べると、私たちの手には安全性も有効性も高いワクチンや、30分で結果が分かる迅速検査キットもある。イギリスでは変異株を探知するため、全市民を対象に週2回の迅速検査を呼びかけている。重症患者の死亡を防ぐ治療薬も分かってきた。
死者15万人超と欧州最悪の被害を出したイギリスでは、サッカーのプレミアリーグは観客数を制限、または無観客で試合を開催した。接触制限と検査を徹底すれば感染を制御できることを実証した。1週間で選手や関係者に最大36人の感染者を出したこともあったが、今では1人か2人に減った。
国際水泳連盟はいったん中止の意向を示していた水泳、飛び込みの東京五輪最終予選について来月、東京で実施すると発表した。「中止の意向」は、コロナ対策の3日間検疫や追加費用に不満を抱いていたためと報じられている。プールの水は塩素消毒されており、ほとんどのウイルスは不活化する。