似たケースはほかにもたくさんある。かつて、外国人観光客でにぎわうある著名観光地の有力者が外国人差別とも取れる発言を行って批判された。当時は謝罪という形で幕引きとなったが、その後、日本のインバウンド戦略を推進する諸活動において、有形無形の形で追加コストが発生した可能性は否定できない。

最近ではLGBT(性的少数者)に関連した差別発言も目立っているが、日本企業における人材獲得という部分において、極めて高額な機会損失コストを支払っているのは明白である。残念ながらこれらの金額を定量化することは難しいが、過去、日本で繰り返されてきた各種発言を全て加算すれば、軽く「兆」の水準に達しているだろう。

一連のコストは、目に見えない形で日本経済を圧迫していく。こうした発言に対して「寛容さも必要」「欧米に合わせる必要はない」といった形でやり過ごせば、さらに巨額の追加コストを余儀なくされる現実について、私たちはもっと認識する必要がある。

<本誌2021年2月23日号掲載>

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