NTTの「殴り込み」で、日本の電力業界に起きること
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<NTTによる再生可能エネルギー事業への参入は、電力業界と消費者にどう影響するのか>
NTTが再生可能エネルギー事業に本格参入する。同社はかつて官営の通信事業者だったこともあり、各地に旧電話局をはじめとする大型施設を数多く保有している。アナログ時代に電話局に収容されていたクロスバー交換機は巨大な装置だが、通信網がIP(インターネットで使われる通信規格)化されたことで機器の小型化が進み、施設には多くの空きスペースが存在する。このスペースをフル活用し、施設内に大量の蓄電池を設置。地域における電力ステーションとして官庁や事業者などに電力を供給する方針だ。
発電については三菱商事と提携し、風力発電や太陽光発電の事業開発を行い、再生可能エネルギーを使った大型発電施設から電力供給を受けることになる。
日本では巨大な発電所で集中的に電力を生み出す集中電力システムが主流となっており、各地に太陽光パネルや蓄電池を設置してネットワークで結ぶという分散型電力システムについては懐疑論が多かった。今でも電力は集中型でなければ安定供給できないと思っている人も多いかもしれないが、それは昭和時代までの古い常識である。
再生可能エネルギーや蓄電、電力管理に関するイノベーションは想像を絶するスピードで進化しており、分散型電力システムの構築は既に現実的な局面に入っている。NTTはお役所仕事の象徴とされ、良くも悪くも新しい技術の導入には常に慎重なスタンスで知られてきた企業だが、そのNTTが分散型電力システムに本格参入するという現実こそが、全てを物語っている。
災害時の停電リスクを軽減
近年、地球温暖化の影響で日本の気候が激変し、従来では考えられなかったレベルの災害が多発している。災害時に携帯電話が不通となる原因の7割は停電で、電力系統が複数存在すればリスクを大幅に軽減できるだろう。同社では保有する約1万台の社用車を電気自動車(EV)化する計画も進めており、大規模停電時には移動式非常用電源としての活用も期待できる。
ほぼ同じタイミングで経済産業省は、非効率な石炭火力発電所の削減を進める方針を打ち出しており、NTTの再生可能エネルギー電力網はその有力な代替手段となる。
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