維新の躍進とリベラルの焦りが日本に韓国型の分断を生む?
政治的立場の異なる人を揶揄したり差別したのでは民主主義は成り立たない(写真は阪神ファン、2012) Toru Hanai-REUTERS
<衆院選後、韓国が地域対立を伴うイデオロギー分断に陥った「レッテル貼り」の愚が日本でも繰り返されている>
2021年10月31日、日本の衆議院選挙の投票が行われた。岸田新政権直後の状況の中、果たして与党がどの程度の議席を維持できるか、注目されたこの選挙の結果は、自民党が単独で安定多数を確保する一方、選挙協力を組んで臨んだ望んだ第一野党の立憲民主党と共産党が議席を減らす、という選挙開始当初の予想とは異なる結末になっている。新型コロナ禍の下、苦戦が伝えられていた自民・公明両党にとっては実質的な勝利であり、逆に横浜市長選挙の結果等を受け、大きく躍進することすら期待されていた立憲民主党や共産党にとっては、惨敗だったということができる。
そして、この中で注目されているのが、選挙前の11議席から41議席へと大幅に議席を伸ばした日本維新の会の存在であり、選挙前の主要な与野党の議席数を失ったこの選挙において、同党が唯一大きく議席を伸ばしたことである。既に指摘されるように、自民党が失った票の多くの部分が日本維新の会に流れ込み、彼らがその利益を受けたことは明らかである。
大阪の「民度」を問う声も
筆者は日本政治の専門家ではなく、故にその詳細な原因について論じる立場にはない。しかしながら、ここで取り上げたいのは、この躍進の中心となったのが、元来、日本維新の会が基盤とする大阪においてであり、SNSを中心とするインターネットの各所で、この大阪の状況を揶揄する声が、強く上がっていることである。曰く、新型コロナ禍において多くの死者を出したにもかかわらず、府政与党の維新の会が勢力を伸ばしたのは非合理であり、それは大阪の有権者の未熟さを示すものではないか。そしてそこから甚だしくは「民度」という差別的な言辞を用いて、大阪の有権者を嘲笑し、ののしる言葉すら溢れている。つまり、「お笑い百万人」「吉本の土地」である大阪の人々は、まともに政治を考える能力を持たないのだ、と。そこに予想外の惨敗を喫した、「リベラル」な人々の焦燥感の表れを見ることは難しくない。
とはいえ、実は世界の多くの国を見れば、一国内のある地域において、特定のイデオロギー的傾向を持った政党が大きな勢力を持つのは、それほど珍しいことではない。例えば、イギリスのスコットランドはある時期まで労働党の支持基盤だったし、アメリカでも、多くの州は赤と青、つまり、共和党が強い地域と、民主党が強い地域のどちらかに色分けされている。
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