今度は元慰安婦の賠償請求却下、韓国では一体何が起こっているのか?
しかし、この4月21日、この状況に逆行するかのような判決が、同じソウル中央地裁から出される事となる。即ち、このやはり元慰安婦等を原告とする裁判において、今度は主権免除を理由に、韓国裁判所自らの裁判権を否定し、日本政府への慰謝料請求を求める原告の請求を却下する判決が出されたのである。この前日にはやはり同じソウル中央地裁が、1月に出された慰安婦問題に関わる判決について、原告等による裁判費用を求める強制執行を「国際法に反する結果を招く事になる」として否定する決定を出した事も明らかになっている。
僅か数カ月の間に全く相反する判決が出され、しかも同じ裁判所が出した判決の履行の為の強制執行を「国際法に違反」とする決定までが下される。こうしてみると韓国の裁判所、とりわけ今回の出来事の中心となっているソウル中央地裁は酷く混乱している様に見える。
それでは韓国では何が起こっているのだろうか。この点を理解する為に知らなければならない事は幾つかある。一つはそもそも韓国においては、裁判所がこれまでの判決を覆し、法律に関わる新たな解釈を下す事が極めて頻繁にある事だ。背景にあるのは、民主化以降に培われた韓国固有の法文化、とも言えるものである。
急ごしらえの民主制度
即ち、長らく権威主義体制下に置かれた韓国では、1987年の民主化以後様々な改革が行われて、今日に至っている。しかしながら、この様なこの国の急激な社会の変化は、必ずしもそれに伴った適切な法改正を伴わなかった。政党が離合集散を繰り返し、与野党が激しく対立する韓国では、2020年4月まで、国会議員選挙において特定の政党が2/3を超える圧倒的多数を占める事はなく、故に大規模な法改正は容易ではなかったからである。
例えば、その憲法は1987年、大規模な民主化の中、急ごしらえで作られたものであり、当時の与野党による政治的妥協の産物である。その典型的な表れは、大統領の任期を1期5年に限る一方で、国会議員を4年、大法院法官を6年とする、変則的な制度であり、結果、韓国では大統領毎に国会議員選挙を迎えるタイミングや、任命できる大法院法官の数が大きく異なる、という奇妙な事態が続いてきた。
そしてこの様な状況に対して韓国では、時に、法律そのものを変えるのではなく、その解釈を大胆に変える事で、新たな状況へと対処する事を行ってきた。こうして行政府、更には後に司法府は「時代的要請」に答えた、「望ましい結論」へと導くように、新たな法律的解釈を積極的に打ち出す事が求められる様になる。
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