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情報BOX:中国EV補助金をEU調査、輸出増の背景に国内需要鈍化
欧州連合(EU)欧州委員会は9月13日、国家補助金の恩恵を受けている中国から輸入される電気自動車(EV)対する関税導入の是非について調査を開始した。写真は8月、ベルリンにある中国のEVメーカー蔚来汽車(NIO)のショールームで撮影(2023年 ロイター/Annegret Hilse)
Brenda Goh
[上海 14日 ロイター] - 欧州連合(EU)欧州委員会は13日、国家補助金の恩恵を受けている中国から輸入される電気自動車(EV)対する関税導入の是非について調査を開始した。
この動きについて主な疑問点を以下に挙げた。
<なぜ欧州に輸出するのか?その規模は?>
主な原動力となったのは中国での需要鈍化による過剰生産能力の拡大。上海を拠点とする助言会社オートモビリティによると、中国の自動車過剰生産能力は年約1000万台と推計され、これは2022年の北米生産台数の3分の2に相当する。
欧州は中国自動車ブランドにとって重要な輸出市場となっている。欧州の厳しい排ガス規制と、米国との比較で穏やかな貿易関係も後押しした。税関データによると、中国のEU向け新エネルギー車の出荷台数は23年1─7月で前年比112%、21年比で361%増加している。
欧州委によると、欧州EV市場での中国のシェアは8%まで上昇しており、25年までに15%に達する可能性がある。
<中国製EVはなぜ安いのか?>
中国はどこよりも安くEVを生産している。
これは主に中国が世界最大のEV市場となり、原材料を含む世界EVサプライチェーン(供給網)を支配することを可能にした、政府の10年来の補助金など産業促進策によるものだ。
欧州委によると、中国製EVは一般的にEU製よりも2割低い価格で販売されている。
中国のコストとサプライチェーンの優位性は外国企業による中国での製造も促している。最もよく知られているのは米テスラだ。
<EUの調査ターゲットは?>
EUの反補助金調査は中国からのバッテリー車を対象としているため、中国以外のメーカーも含まれる。
米シンクタンク「戦略国際問題研究所」によると、単体で最大の輸出企業はテスラで、1─4月の中国EV輸出の40%を占めている。
欧州に輸出されている人気の中国ブランドには、浙江吉利控股集団傘下のボルボや国有メーカーである上海汽車(SAIC)のMGなどがある。
市場をリードする比亜迪(BYD)、上海蔚来汽車(NIO)、小鵬汽車(Xpeng)など他の企業も、オランダやデンマークを含む欧州諸国への進出を開始している。
<どのような補助金が導入されたのか?>
EVとハイブリッド車に対する中国の国家補助金は、16─22年に総額570億ドルに上るとコンサルティング会社アリックスパートナーズは推計している。
よく知られているEV補助金プログラムは購入促進を目的としている。購入時に自動車メーカーに支払われるこの補助金は09年に始まり、徐々に縮小されて昨年終了した。招銀国際の推計では、21年まででEV購入促進に150億ドル近くが支払われた。
中国は6月、EVなどグリーンカーの販売促進を目的に4年間で5200億元(720億ドル)相当の税優遇措置を発表した。
多くの地方当局は消費者向け補助金だけでなく、製造投資を誘致するための個別支援策や税還付も引き続き実施している。これらは近年、経済が減速する中で拡大している。
EUは今回の調査について、原材料やバッテリーの価格から優遇融資や土地の安価な提供まで、幅広い不当な補助金の疑いがあると指摘している。