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EXCLUSIVE-カナダ、CCS計画難航 油砂事業の炭素回収

カナダで、アルバータ州の油砂事業から排出される二酸化炭素(CO2)削減に重要な大規模炭素回収・貯留(CCS)プロジェクトが難航している。写真はカナダのオイルサンド。2014年9月撮影(2023年 ロイター/Todd Korol)
Steve Scherer
[オタワ 5日 ロイター] - カナダで、アルバータ州の油砂事業から排出される二酸化炭素(CO2)削減に重要な大規模炭素回収・貯留(CCS)プロジェクトが難航している。プロジェクトに関わるベンチャー企業の代表者が明らかにした。
代表者によると政府系ファンドは、サンコール・エナジーなど国内石油ガス大手6社で構成するパスウェイズ連合が手掛けるCCS事業について、事業規模が大きすぎる上に非常に大きなリスクを伴うと懸念を表明。将来の炭素クレジット価格を固定する手段である差金決済契約には適さないと述べたという。
差金決済は炭素クレジットの最低価格を設定する仕組みで、CCS投資家の将来的な利益に確実性を与える。
政府系ファンドは昨年、財務省が設立。融資リスクを軽減することで、温暖化対策技術への民間投資家の呼び込み促進を目指している。
カナダは世界4位の原油生産国。トルドー首相は政府指針として、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を掲げている。
パスウェイズ連合が計画するCCS施設では、30年までに165億カナダドル(122億ドル)をかけ、14の油砂事業で排出されるCO2の貯留を目指す。建設には数年かかるため、事業を進めるには政府の支援を必要としている。
パスウェイズは、年間14メガトンの炭素を回収し、30年に指標となるクレジットを1トン=170カナダドルに設定することを目指している。