米下院、共和提出の債務上限引き上げ法案可決 政権は拒否姿勢

　４月２６日、米下院は、大幅な歳出削減を伴う連邦債務上限引き上げ法案を可決した。写真中央はマッカーシー下院議長。米首都ワシントンで撮影（２０２３年　ロイター/Tom Brenner）

[ワシントン ２６日 ロイター] - 米下院は２６日、今後１０年間の大幅な歳出削減を伴う連邦債務上限引き上げ法案を辛うじて可決した。採決結果は賛成２１７、反対２１５でほぼ党派に沿ったものとなった。

バイデン大統領と与党民主党は無条件での債務上限引き上げを求めているが、マッカーシー下院議長（共和党）は法案可決によりバイデン氏を歳出削減交渉に引き込みたい考えだ。

マッカーシー氏は採決後、記者団に「共和党は仕事をした」と述べ、バイデン大統領に交渉を呼びかけるとともに、上院に下院案あるいは独自案を可決するよう求めた。

下院案は債務上限を１兆５０００億ドル引き上げる内容だが、新たな上限に到達しなくても来年３月３１日を期限としており、２０２４年大統領選の期間中に再び交渉が必要になる可能性もある。連邦政府の歳出は２２年の水準に削減し、伸び率を年１％に抑制することを提案。グリーンエネルギー奨励策を一部廃止し、一部の低所得者支援措置の就労条件を厳格化する。

ホワイトハウスのジャンピエール報道官は「バイデン大統領はこの法案のように中間層や勤労世帯に富裕層減税を負担させることは決してしない」とし、「大統領はこの法案が成立する可能性はないと明確にしている」と述べた。

スカリス下院院内総務（共和党）は採決前の電話インタビューで「法案を通過させれば、全体の流れが変わり、上院に仕事をさせる圧力がかかる。われわれの法案を通さないと言うのなら、どの法案を通すつもりなのか」と語った。

一方、シューマー上院院内総務（民主党）は下院の法案について、「到着次第、廃案になる」と一蹴。世界の市場と経済を揺るがす歴史的なデフォルト（債務不履行）に米国を「危険なほど近づけるだけだ」と記者団に述べた。

マッカーシー氏は２２２人の極右と穏健派の共和党議員から十分に支持を得るため、法案のバランス調整に何カ月も苦心してきた。

法案存続に向け、２６日早朝に一部議員の要求を受け入れ、バイオ燃料税控除に関する中西部州選出議員の懸念に対処したほか、低所得者を支援する一部の連邦プログラムの就労条件を厳格化するという強硬派からの要求に応えた。