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トルコ大地震、成長率最大2ポイント押し下げか 巨額財政支出必要に
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シリア国境に近いトルコ南部で6日に発生した大地震で、トルコは復興に巨額の財政出動が必要となる見通しだ。写真は2月7日、トルコのイスケンデルンで撮影(2023年 ロイター/Benoit Tessier)
[アンカラ 8日 ロイター] - シリア国境に近いトルコ南部で6日に発生した大地震で、トルコは復興に巨額の財政出動が必要となる見通しだ。大統領選・議会選が5月に迫る中、2023年の経済成長率が最大で2ポイント押し下げられるとの見方も出ている。
地震では、トルコとシリアで計約1万人の死者が確認された。約1340万人が暮らす地域では、住宅や病院を含む数千の建物、道路、パイプラインなどのインフラが激しく損傷。詳しい被害規模ははっきりしていないが、ある当局者は「数十億ドルに上るだろう」と語った。
一方、5月14日に予定されている大統領選・議会選では、犠牲者の収容とがれき撤去問題がテーマになる公算が大きく、約20年にわたって権力の座にいるエルドガン大統領に重い課題を突き付けている。
エルドアン氏が型破りな経済政策を推し進める中で、トルコは何年にもわたってインフレ高進と通貨リラの急落に見舞われてきた。昨年のインフレ率は85%と、24年ぶりの高水準を記録。リラの対ドル相場はこの10年間で10分の1に沈んだ。
1月のインフレ率は57%だったが、今回の大地震は、政府が経済成長を後押しするために生産と輸出、投資を重視する政策に取り組む中で起きた。被災地の生産は、国内総生産(GDP)の9.3%を占めるが、大地震で打撃を受けたとみられている。被災規模を示唆する国内電力使用量は、地震が発生した6日に前週から11%落ち込んだ。
エコノミスト3人の試算によると、被災地の生産が半減した場合のシナリオで、経済成長率は0.6─2ポイント低下する。
政府高官は、成長率は目標とする5%を1─2ポイント下回る恐れがあるとの見通しを示した。
コンサルティング会社テネオ・インテリジェンスのウォルファンゴ・ピッコリ氏は今回の地震について、1999年にトルコ北西部の工業地帯が見舞われた同規模の地震のように、経済に深刻な打撃を及ぼす公算は小さいと分析。「(今回の)地震は国内で最も貧しく未開発な地域の一つで発生した」と指摘した。