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イラン、監視カメラ27台撤去 核合意再建に致命的打撃も=IAEA

国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は9日の理事会で、イランがIAEAの監視カメラ20台とその他の監視機器を停止する計画を書簡で伝えてきたと明らかにした。理事会に出席した外交官らが明らかにした。写真はイランの国旗。IAEA本部で2021年5月撮影(2022年 ロイター/Leonhard Foeger)
[ウィーン 9日 ロイター] - 国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は9日、イランが2015年核合意に基づき設置されたIAEA監視装置ほぼ全ての撤去を開始したと明らかにし、核合意再建に「致命的打撃」となる恐れがあると懸念を示した。
IAEA理事会は8日、イランの未申告施設でウランの痕跡が検知された問題を巡り、米英仏独が提出した非難決議を賛成多数で採択。イランは決議が採択されれば報復すると警告していた。
グロッシ氏は記者会見で、イランがIAEAの監視カメラ27台などの機器を9日から撤去する計画を伝えてきたと明らかにした。これは2015年核合意の下で設置された追加監視機器の「ほぼ全て」に当たるという。
核合意以前から行われている中核的な監視活動の一環として、40台以上のカメラは引き続き稼働するとした。
グロッシ氏は、停止される監視活動の少なくとも一部を3─4週間以内に再開できなければ、イランの最も重要な核活動を把握できなくなり、核合意の再建に「致命的な打撃」になると述べた。
ある米当局者は匿名を条件に、3─4週間後でもイランは核合意再建を可能にするための追加情報を提供できると述べた。
「(今後)3─4週間が消滅寸前の状態にあるというわけではない」と述べた。ただ、イランがアクセスを拒否する期間が長ければ長いほどIAEAが求める透明性は高まると説明した。
一方、イランのライシ大統領は演説で、IAEA理事会の非難決議を受けても「われわれは一歩も引き下がらない」と述べた。
英仏独はイランの対応を非難し、IAEAへの全面的な協力を再開するとともに、核活動の加速をやめるよう要求。「こうした行為は状況を悪化させ、核合意の完全履行再開に向けた取り組みを複雑にするだけだ」と訴えた。
米国はこれとは別に声明を出し、イランに外交と緊張緩和を選択するよう促したが、非難は表明しなかった。