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紛争長引けばウクライナ人の9割が貧困に直面=国連開発計画

2022年03月16日(水)15時08分

 3月16日、国連開発計画(UNDP)は、ロシアとウクライナの戦争が長引けば、ウクライナの人口の最大9割が貧困に直面する恐れがあるとの見方を示した。写真は被害を受けたウクライナのドネツク地方で撮影(2022年 ロイター/Alexander Ermochenko)

[ジュネーブ 16日 ロイター] - 国連開発計画(UNDP)は16日、ロシアとウクライナの戦争が長引けば、ウクライナの人口の最大9割が貧困に直面する恐れがあるとの見方を示した。

UNDPのアヒム・シュタイナー総裁はロイターとのインタビューで「紛争が長引けば、貧困率は大幅に上昇する」と指摘。「最悪のシナリオはウクライナ経済全体が崩壊で、そうなれば最大90%の人々が貧困ライン以下、もしくは高い(貧困)リスクに直面する」との見方を示した。

貧困ラインは生活に必要な物を購入できる最低限の収入を表す指標で、シュタイナー氏によると、通常、一人当たり1日5.50─13ドルと定義されている。ロシアがウクライナに軍事侵攻する前は、ウクライナ国内で1日5.5ドルの貧困ライン以下で生活する人の割合は推計2%だったという。

シュタイナー氏は、ウクライナ経済の崩壊という最悪のシナリオを避けるため、UNDPはウクライナ政府と協力していると強調した。

ウクライナ政府高官は10日、ロシア軍はこれまでに少なくとも1000億ドル相当のウクライナのインフラを破壊したと指摘し、国内企業の半分は完全に事業を停止したと明らかにした。

シュタイナー氏は「これまでウクライナで18年かけて積み上げてきた開発利益は、1年か1年半で完全に消滅してしまう恐れがある」と懸念を示した。

さらに世界的なウクライナの重要性を強調。アフリカ諸国は小麦輸入の3分の1をウクライナとロシアに依存しており、「後発発展途上国(LDC)であるアフリカの45カ国にとり穀倉地帯である国の経済安定に取り組んでいる」と述べた。

ロイター
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