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中国がイラン産原油を国家備蓄に、12月下旬以降計400万バレル

1月21日、中国が過去数週間にわたり、約400万バレルのイラン産原油を南部の港湾都市である湛江市の国家備蓄タンクに荷下ろししていたことが分かった。写真は浙江省寧波市の石油ターミナルで2017年5月撮影(2022年 ロイター)
[シンガポール 21日 ロイター] - 中国が過去数週間にわたり、約400万バレルのイラン産原油を南部の港湾都市である湛江市の国家備蓄タンクに荷下ろししていたことが分かった。通商筋と船舶追跡を手掛けるボルテクサ・アナリティクスが20日、明らかにした。
中国はこれまで、イラン産原油を水面下で輸入しており、米国の制裁を恐れて公式通関データに反映されていなかった。しかし、中国税関は20日になって、制裁が続いているにもかかわらず、1年ぶりにイラン産原油の輸入を報告。税関総署のデータによると、昨年12月にイラン産原油を26万0312トン(190万バレル)輸入した。
通商筋によると、この貨物は12月下旬に湛江の国家備蓄用地に荷揚げされたという。
これに続き、ボルテクサによると、別の同規模の貨物が緊急備蓄用として同じ港に陸揚げされたという。
ドシ・コンサルティング(シンガポール)のマネジングディレクター、ティラク・ドシ氏は「イラン産原油の輸入については以前から報じられていたが、ある程度伏せられていた。中国は米国の反応を見るために公然とテストしているのだと思う」と語った。
イラン石油省からのコメントは得られていないが、同省高官は「米国の制裁のためどの国へかは公表していないが、中国はイランの石油を買い入れている国の一つだ。制裁が効かなくなってきたことを示している」と述べた。
米国務省の報道官は匿名を条件に、「われわれは中国企業がイランの石油を購入していることを把握している。中国とビジネスを行っている企業を含め、イランの制裁逃れに対応するために制裁権限を行使しており、今後も必要に応じて行使していく」と述べた。
一方で「われわれはイラン政策に関する対話の一環として中国と外交的にこの問題に取り組んでおり、総じて言えば、これがわれわれの懸念に対処するためのより効果的な方法であると考えている」と付け加えた。
中国国家食糧物資備蓄局からは今のところコメントを得られていない。
あるシニア石油トレーダーは「これは(中国の)原油価格を冷やすための試みだ。より多くの供給があることを世界に示そうとしている」と語った。
海運データやトレーダーの推計によると、中国の原油輸入のうちイラン産は約6%を占めている。
ロイターは先週、中国が春節(旧正月)前後に戦略的備蓄から一部の在庫を放出する見込みだと報じた。