ニュース速報

ワールド

訪台の米厚生長官、中国の新型コロナ対応を批判

2020年08月11日(火)19時38分

 8月11日、台湾を訪問中のアザー米厚生長官(左)は、新型コロナウイルスの流行について中国政府の対応を批判し、新型コロナが台湾や米国で発生していれば「容易に制圧」できていた可能性があると述べた。写真右は台湾の呉ショウ燮外交部長(外相)。11日台北で撮影(2020年 ロイター/Ann Wang)

[台北 11日 ロイター] - 台湾を訪問中のアザー米厚生長官は11日、新型コロナウイルスの流行について中国政府の対応を批判し、新型コロナが台湾や米国で発生していれば「容易に制圧」できていた可能性があると述べた。

トランプ政権は、中国政府が武漢市で発生した新型コロナに関する情報を隠蔽しようとしていたと繰り返し批判。中国側は疑惑を否定している。

同長官は台北で「中国共産党には、ウイルスについて世界に警告し、世界と協力するチャンスがあった。だが彼らはそうしないことを選んだ。その選択のせいで日増しに被害が増えている」と発言。中国政府が世界の公衆衛生に必要とされる協力の精神に背き、国際的な義務を果たさなかったと非難した。

同長官は「こう言っても誇張ではないと思う。もしこのウイルスが台湾や米国のような場所で発生していれば、容易に制圧できていたかもしれない。公衆衛生当局に直ちに報告していれば、当局が専門家や一般市民と情報を共有していただろう」と発言。

「だが、中国政府は情報の共有に抵抗したようだ。声を上げた医師の口を封じ、世界の対応能力を妨害した」と述べた。

台湾の呉ショウ燮外交部長(外相)は11日、同長官との共同会見で、中国政府が台湾を第2の香港とする政治的な条件の受け入れを求めており、台湾は厳しい状況に直面しているとの認識を示した。

呉氏は会見で「われわれの生活は厳しさを増している。中国は台湾に対し、政治的な条件を受け入れるよう引き続き圧力をかけている。台湾を第2の香港とするような条件だ」と発言。台湾にアザー長官のような米国の友人がいることは幸運だとの認識を示した。

呉氏は「これは台湾の地位だけの問題ではない。権威主義的な侵攻に直面している民主主義を維持するという問題だ。台湾は民主主義を広めるため、この戦いに勝たなければならない」と述べた。

アザー長官は、台湾が中国の反対で世界保健機関(WHO)に加盟できていないことについて、世界は台湾の新型コロナウイルス対策の成果を認めるべきだと発言。

「感染が世界的に拡大している時は特にそうだが、国際機関はどんな場合も、政治の駆け引きの場となるべきではない。建設的でオープンな対話と協力の場であるべきだ」と述べた。

台湾国防部(国防省)によると、アザー長官と台湾の蔡英文総統の会談が行われた10日午前、中国軍の戦闘機が台湾海峡の中間線を越えて一時台湾側に入った。

香港のメディア王で著名な民主活動家の黎智英(ジミー・ライ)氏(71)は10日、香港国家安全維持法(国安法)の下、外国勢力と結託した疑いで逮捕された。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

独クリスマス市襲撃、容疑者に反イスラム言動 難民対

ワールド

シリア暫定政府、国防相に元反体制派司令官を任命 外

ワールド

アングル:肥満症治療薬、他の疾患治療の契機に 米で

ビジネス

日鉄、ホワイトハウスが「不当な影響力」と米当局に書
MAGAZINE
特集:アサド政権崩壊
特集:アサド政権崩壊
2024年12月24日号(12/17発売)

アサドの独裁国家があっけなく瓦解。新体制のシリアを世界は楽観視できるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    【駐日ジョージア大使・特別寄稿】ジョージアでは今、…
  • 5
    トランプ、ウクライナ支援継続で「戦況逆転」の可能…
  • 6
    「私が主役!」と、他人を見下すような態度に批判殺…
  • 7
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 8
    「オメガ3脂肪酸」と「葉物野菜」で腸内環境を改善..…
  • 9
    「スニーカー時代」にハイヒールを擁護するのは「オ…
  • 10
    「たったの10分間でもいい」ランニングをムリなく継続…
  • 1
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 2
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 3
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 4
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
  • 5
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医…
  • 6
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 7
    【クイズ】アメリカにとって最大の貿易相手はどこの…
  • 8
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 9
    【駐日ジョージア大使・特別寄稿】ジョージアでは今、…
  • 10
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 1
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 2
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 6
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命を…
  • 7
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 8
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 9
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 10
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中