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ポーランドが最高裁判事の定年引き下げ、EUは司法介入と批判

7月5日、ポーランドは4日、最高裁判所判事の定年を引き下げる措置を導入した。写真は定年引き下げで退職対象となった最高裁トップのマルゴジャタ・ゲルスドル氏。ワルシャワで昨年7月撮影(2018年 ロイター/Kacper Pempel)
[ワルシャワ 4日 ロイター] - ポーランドは4日、最高裁判所判事の定年を引き下げる措置を導入した。現職判事の3分の1程度が退職を強いられることになり、欧州連合(EU)は政府による司法介入に当たるとして批判、民主主義的価値観を巡る双方の対立が深まった。
EUは、ポーランドの保守与党「法と正義」が司法制度を支配し、民主主義的価値観を破壊しつつあると主張。一方、ポーランド政府は、司法制度改革は共産主義時代の考え方や慣行を排除するために必要との立場だ。
定年引き下げで退職対象となった最高裁トップのマルゴジャタ・ゲルスドル氏(65)は4日朝も出勤し、新たな措置に抵抗する姿勢を示した。同氏は記者団に「ここに来たのは政治的理由ではなく、法の支配を守るためだ」と強調した。
憲法の専門家、Marek Chmaj氏は、ゲルスドル氏は6年の任期が切れるまで職務を続ける条件を満たしていると指摘。同氏は2014年に最高裁トップに就任した。
Chmaj氏は「法律は過去にさかのぼって適用することはできない。このため、新たな措置は明確に憲法に違反しており、最高裁が機能不全に陥る可能性がある」と警告した。
ポーランドのモラウィエツキ首相はこの日、欧州議会に対し、司法制度改革の正当性を主張。「どのEU加盟国も伝統に基づき司法制度を形作る権利がある」と述べ、EUは域外諸国に関する課題に注力する必要があり、民主的に選ばれた加盟国政府への抗議運動を行うべきではないと主張した。
欧州議会の議員からはモラウィエツキ首相に対して批判的な意見が続出。マルタの議員は、ポーランドの司法制度改革は「政府に対してチェック機能を果たすべき機関を弱体化させることで(政府の)支配を強固にする」狙いがあると非難した。
法と正義は2015年に政権に就いて以降、新法の制定や人事を通じて司法制度への介入を強めており、他の加盟国の大半が批判的であることからEU内で孤立化している。ただ、EUは、基本的価値観に反するとみなす加盟国を抑止する権限はないというのが実情だ。