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米朝、危機解決への連絡手段限られる 専門家は不測事態の恐れ指摘
8月9日、米国と北朝鮮の緊張が高まるなか、専門家は両国間に危機拡大を回避するためのホットラインが整備されていないことについて、一方の行動について他方が誤った発言あるいは解釈を行ったり、偶発事故が発生した場合に、全面衝突など不測の事態を招きかねないと警告する。写真はピョンヤンで4月撮影(2017年 ロイター/Damir Sagolj)
[ワシントン 9日 ロイター] - 米国と北朝鮮の緊張が高まるなか、専門家は両国間に危機拡大を回避するためのホットラインが整備されていないことについて、一方の行動について他方が誤った発言あるいは解釈を行ったり、偶発事故が発生した場合に、全面衝突など不測の事態を招きかねないと警告する。
米国とロシアは冷戦中から長い時間かけて首脳間ホットラインや衛星電話回線を整備するとともに、相互に偵察飛行を認める条約も締結している。一方、米朝には国交がないほか、このような安全網も存在しない。
ここ数日間で米朝間の緊張は著しく高まっており、トランプ米大統領は、北朝鮮がこれ以上米国を脅かせば「世界がかつて見たことのないような炎と怒りに直面することになる」として北朝鮮をけん制。これに対し北朝鮮は、米領グアムに向けて中距離弾道ミサイルを発射する計画を検討していると表明している。
ただ、専門家などによると、双方が緊張緩和に向けた提案を行う手段は限られている。
オバマ前米政権で核不拡散担当の特別補佐官を務めたジョン・ウォルフスタール氏は「われわれは臨時的でアナログな北朝鮮との連絡手段があるが、危機時の緊張下でも有効と証明されたものはない」と説明。
米朝は通常、双方の国連代表部や北京大使館、北朝鮮と韓国の軍事境界線がある板門店での軍当局による会談を通じて接触を維持している。このほか、北朝鮮に近い中国や平壌駐在のスウェーデン大使館を介して北朝鮮にメッセージを送ることもある。
ゲーリー・サモア元米大統領補佐官によると、韓国と北朝鮮との間にはホットラインが存在していたが、金正恩朝鮮労働党委員長が2013年に遮断し、再開を拒否しているという。
軍縮を訴えるプラウシェアズ・ファンドの代表、ジョセフ・シリンシオーネ氏は、トランプ大統領が政府方針の発表にツイッターを多用していることに触れ、「ツイートや公式発言でこの危機に対応はできない」と強調した。