ニュース速報

ビジネス

東芝、経営再建へ非上場に JIP連合が8日からTOB

2023年08月07日(月)19時21分

 8月7日、国内投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)が主導する連合は、東芝株を8日から公開買い付け(TOB)すると発表した。写真は東芝のロゴ。4月、川崎市内で撮影(2023年 ロイター/Androniki Christodoulou)

[東京 7日 ロイター] - 東芝買収を計画する日本産業パートナーズ(JIP)の連合は7日、8日に株式公開買い付け(TOB)を開始すると発表した。TOB価格は4620円で、買付予定数を取得した場合の総額は約2兆円となる。経営再建を目指す東芝は、紆余曲折を経て国内ファンド主導で非上場化する。

島田太郎・社長兼最高経営責任者(CEO)は会見で「現在の株主構成では中長期的に一貫した戦略を実行し成長することが困難」と非上場化の意義を強調。3月のTOB公表から、取引先や従業員などから前向きな反応があったといい、安定的な経営基盤で収益力向上を図るとした。

東芝の株主の約半分は「物言う株主」と呼ばれる海外ファンドを含む外国法人で、株主と経営陣との対立が表面化。渡辺章博・取締役会議長は会見の冒頭「東芝にとって8年間のトンネルを抜ける節目の日」と語った。非上場化により、2015年の不正会計問題から始まった一連の経営混乱の解消を目指す。

JIP連合にはオリックスやローム、日本特殊陶業などが参加する。

東芝は同日、TOBに賛同するとともに、株主に応募を推奨することを決議した。東芝株は上場廃止になる見込み。

東芝が4割を出資する持分法適用会社のキオクシアホールディングスについて、渡辺議長は、仮に「TOB期間中にキオクシアHD株に何らかの動きがあれば(株主価値に)影響を与え得る」との見方を示した。TOB成立の条件である3分の2以上の応募を集められるかが今後の焦点だが、キオクシアの動向は株主の判断に影響する可能性がある。

キオクシアHDは米ウエスタンデジタル(WD)と経営統合に向けて交渉中とされている。この日東芝が開示した2023年4―6月期連結純損益(米国基準)は、半導体メモリー市況の低迷でキオクシアHDの業績が落ち込み、253億円の赤字(前年同期は258億円の黒字)に転落した。

東芝を巡っては、事業分割案が臨時株主総会で否決された後、2022年4月に株式の非公開化を含む戦略的選択の募集を開始。JIP連合が優先交渉権を得て、買収の正式提案に向け調整を進めた。

◎東芝の経営を巡る経緯

2015年 4月 不正会計が発覚

7月 歴代3社長らが引責辞任

17年 3月 巨額損失を抱えた米原発子会社が経営破綻

4月 半導体メモリー事業を分社化

12月 約6000億円を物言う株主を引受先とする第三者割当増資

18年 6月 メモリー事業を米ベインキャピタルなど日米韓連合に売却

20年 7月 定時株主総会で大株主2社が取締役候補の計5人を提案

21年 3月 臨時株主総会でエフィッシモが20年7月の株主総会を巡り調査を要求

6月 総会が公正に運営されていないとする調査報告書を公表

11月 会社側が東芝グループの3分割案を公表

22年 3月 臨時株主総会でグループ分割案否決

6月 定時株主総会で、物言う株主幹部2人が取締役に

23年 3月 JIPによる買収提案の受け入れ決議

8月 JIPが東芝へのTOBを開始

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

情報BOX:トランプ米大統領、3期目は可能か

ワールド

米、中国・香港高官に制裁 「国境越えた弾圧」に関与

ビジネス

アングル:大荒れだった1-3月の米国株、政策の不確

ワールド

マレーシアのペトロナス・ガスパイプラインで火災、3
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中