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シンガポールGDP、第1四半期は前期比マイナス 景気後退リスク

シンガポール貿易産業省が5月25日発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)改定値は前年比0.4%増と、伸び率は速報値の0.1%から上方改定された。 2020年11月、同国の港で撮影(2023年 ロイター/Edgar Su)
[シンガポール 25日 ロイター] - シンガポール貿易産業省が25日発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)改定値は前期比でマイナス成長に転じた。世界経済の見通しが弱まり、主要貿易相手国の中国も新型コロナウイルス禍後の回復に苦戦する中、リセッション(景気後退)のリスクが高まった。
GDPは前年比では0.4%増と、速報値の0.1%増から上方改定された。
一方、季節調整済みの前期比では0.4%減。2022年第4・四半期の0.1%増からマイナスに転じた。第2・四半期もマイナスなら、2四半期連続のマイナス成長で定義されるテクニカルリセッションに陥る。
メイバンクのエコノミスト、チュア・ハク・ビン氏は、中国経済再開による押し上げ効果が第2・四半期になければ、テクニカルリセッションがあり得ると指摘。中国人観光客の戻りは今のところ小規模だと述べた。
貿易産業省は年内のテクニカルリセッションを予想していないとしながらも、年末までの外需見通しは弱まったとの認識を示した。
同省のチーフエコノミストは、今年前半は四半期成長率が低迷するものの、その後は勢いが回復するとの見通しを示した。
同時に「下振れリスクや見通しの悪化を踏まえると、前期比でマイナス成長になる四半期が年内に出てくる可能性は排除できない」と述べた。
一方、シンガポール金融管理局(MAS、中央銀行)は、現行の金融政策は適切としつつ、経済成長とインフレ双方の動向を注視していると表明した。
MASは21年10月から5回連続で引き締めを決定したが、今年4月は金融政策の現状維持を決めた。
貿易産業省は23年のGDP成長率予測を0.5─2.5%に据え置き、レンジ半ば付近の成長率になる可能性が高いとした。
メイバンクのチュア氏は、成長率予測の据え置きは意外だったとし、「われわれはさほど楽観的ではない。今後数四半期で経済が回復ではなく停滞するとみている」と述べた。