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今年の世界ガス需給は逼迫続く、ロシアから欧州向け減少=IEA

国際エネルギー機関(IEA)は4日発表の四半期報告で、2023年の世界ガス需給について、徐々に均衡に向かっているが、逼迫(ひっぱく)が続くと分析した。写真は2021年10月撮影(2023年 ロイター/Wolfgang Rattay)
[ロンドン 4日 ロイター] - 国際エネルギー機関(IEA)は4日発表の四半期報告で、2023年の世界ガス需給について、徐々に均衡に向かっているが、逼迫(ひっぱく)が続くと分析した。ロシア産ガスの欧州向け供給の落ち込みが響く見込み。
欧州と世界のガス市場は、ロシアが22年にパイプライン経由での欧州連合(EU)向けガス供給を8割削減したことが打撃となり、各地でエネルギー危機を引き起こした。ただ、温暖な気候や液化天然ガス(LNG)輸出の増加、需要の顕著な減少でショックが緩和され、欧州のガス備蓄は60%の水準でとどまった。
IEAは報告で「需給の緩和、夏を前にして比較的備蓄があることが、供給確保に関して慎重ながら楽観的である理由だ」と説明した。ただ、「23年の市場見通しが改善は、今後保証されたものではない。世界的な供給不足は続く見通しで、需給は異例ともいえる広範な不確実性に左右される」との認識を示した。
ただ、夏の水不足といった悪天候やLNG不足、ロシアの欧州向けガス供給の一段の削減などのリスクが市場に揺り戻しをもたらし、価格が不安定になる可能性があると警告した。
23年の世界のLNG供給は4%増にとどまる見込みで、ロシアからの供給減を補うには足りない。22年は中国のLNG輸入が減少したため、欧州の高い需要に対応できたが、中国の輸入は高い内需に支えられて回復しており、前年と比べ10─15%増加する見通しという。