ニュース速報

ビジネス

米預金保険制度、業務用口座への支援拡大が「最も有望」=FDIC

2023年05月02日(火)06時02分

米連邦預金保険公社(FDIC)は1日、連邦預金保険制度の改革に向け複数の選択肢を提示した上で、事業目的で使用される銀行口座に対する保護を大幅に拡大することが「最も有望」と結論づけた。2009年11月撮影(2023年 ロイター/Rick Wilking)

[ワシントン 1日 ロイター] - 米連邦預金保険公社(FDIC)は1日、連邦預金保険制度の改革に向け複数の選択肢を提示した上で、事業目的で使用される銀行口座に対する保護を大幅に拡大することが「最も有望」と結論づけた。

FDICが示した76ページに及ぶ報告書によると、給与や取引の支払いなどに使用される業務用口座に対する保険制度を大幅に拡大、または無制限にすれば、預金が銀行から一斉に流出する可能性が大幅に低下し、金融の安定性を高めることが可能。ただ、対象となる口座の定義付けや銀行の負担増加など課題もあるという。

FDIC当局者は記者団に対し、1930年代の大恐慌(グレート・ディプレッション)時に導入されて以来、ほぼそのままの形で維持されてきた預金保険制度に何らかの変更を加えるには、どのような種類の口座が追加的に保険の対象になるのかを示した新たな法令が必要と述べた。

報告書では預金額に関係なく全ての口座を保護する案も検討。同案は銀行の経営破綻を防ぐのに最も有効だが、市場の混乱に大きく影響するほか、銀行のリスクテイクを高める可能性もあるという。

また、銀行ごとに一口座当たり25万ドルまで保護する現行のシステムを維持する案では、市場の混乱が最も小さいものの、保険対象外の預金口座を多く抱えることに伴う「金融安定性を巡る課題には対処できない」とした。

米国の銀行口座の約99%は現行の預金保険制度下で完全に保険の対象となっているが、保険対象外の預金口座が近年、急速に拡大しており、2009年以降では3倍の7兆7000億ドルに膨らんでいる。資産規模1000億ドル以上のシリコンバレー銀行(SVB)やシグネチャー・バンクがそうだったように、保険対象外の預金口座が集中すれば銀行破綻の可能性が高まり、金融の安定性が脅かされることになる。

報告書では、中小規模の銀行が保険対象外の預金に大きく依存するようになっているとし、これは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受けた政府支援による預金急増の一時的影響が一因になっている可能性があるとした。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国が通商交渉官を交代、元WTO大使起用 米中摩擦

ビジネス

日銀、5月20ー21日に債券市場参加者会合 中間評

ビジネス

市場は米への信認疑問視、トランプ関税で=経済同友会

ビジネス

アングル:日米関税協議、投機の円買い呼び込む 先高
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気ではない」
  • 2
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ印がある」説が話題...「インディゴチルドレン?」
  • 3
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 4
    NASAが監視する直径150メートル超えの「潜在的に危険…
  • 5
    【クイズ】世界で2番目に「話者の多い言語」は?
  • 6
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 10
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 1
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 2
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 3
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 4
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 5
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 6
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 7
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 8
    まもなく日本を襲う「身寄りのない高齢者」の爆発的…
  • 9
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 10
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中