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楽天銀IPO、初日終値は公開価格37%上回る 割安感で買い集める
4月21日 楽天グループ傘下の楽天銀行が21日、東証プライムに上場した。写真は楽天銀行のロゴ。21日、東京証券取引所で撮影(2023年 ロイター/Issei Kato)
[東京 21日 ロイター] - 楽天グループ傘下の楽天銀行が21日、東証プライムに上場した。1856円で初値を付けた後、公開価格(1400円)を37.8%上回る1930円で引けた。承認当初想定を2-3割下回る公開価格への割安感から買いが集まった。
<さらなる売り出しは想定せず>
永井啓之社長は上場会見で「楽天会員は1億人を超え、この楽天エコシステムをカバーするだけで日本の消費者にほぼリーチできることになる」とし、会員に対するポイント提供などにより顧客の獲得を積極的に進める考えを示した。
楽天銀は3月末で口座数1300万超、預金残高9兆円超のインターネット銀行国内最大手。27年3月末の口座数は約2500万口座、預金残高約20兆円を目指す。永井社長は、公開価格を決定するための機関投資家のヒアリングの中で「海外投資家は、特に楽天エコシステムを活用できる銀行として興味を示していた」と説明した。
上場に伴い、楽天Gは楽天銀株の売却で717億円を調達。楽天銀を連結子会社として維持する方針。永井社長は楽天Gが決めることとした上で「現時点で(楽天Gによる)さらなる売り出しは想定していない」と述べた。ビジネス面ではエコシステムとのシナジーを追求する一方で、経営面では従来通り独立性を維持していくと話した。
<中計期間中の新たな増資、必要ない>
楽天銀行は上場に伴い140億円(追加発行分含む)の公募増資を実施。永井社長は27年3月期を最終年度とする中期経営計画の期間中は新たな増資の必要性はないとの認識を示した。成長段階にあるため、短期的には無配だが、数年経った段階で資本政策を見直すという。
楽天銀行の新規公開(IPO)については、3月に東京証券取引所から上場承認を受けた当初の想定仮条件は1630―1960円だったが、4月5日に株式市場の状況などを踏まえて1300―1400円に引き下げ、公開価格は1株1400円に決まった。上場時の時価総額は2380億円で、承認当初からは2―3割小さくなった。
松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「公開価格が下がっており、安すぎた。だいぶ割安な部分は取り返したので、この先は落ち着いた値動きになるのではないか」と指摘する。銀行セクターは日銀の政策修正があれば一段高もあり得る、とも話した。
(浦中美穂、平田紀之 編集:石田仁志)