ニュース速報

ビジネス

欧州の銀行、信用リスクの外部移転を積極化 SRT組成過去最高

2023年04月05日(水)15時54分

 4月5日 欧州の銀行は、融資ポートフォリオにおけるリスクを軽減し、財務体質を改善するために、ヘッジファンドなどの投資家との間でオーダーメード取引を行うことが増えていると、複数の関係者がロイターに語った。写真はフランクフルトのECB本店で、3月14日撮影(2023年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

[5日 ロイター] - 欧州の銀行は、融資ポートフォリオにおけるリスクを軽減し、財務体質を改善するために、ヘッジファンドなどの投資家との間でオーダーメード取引を行うことが増えていると、複数の関係者がロイターに語った。

これは「シグニフィカント・リスク・トランスファー(SRT)」と呼ばれる、信用リスクを外部に移転する取引だ。規制当局によると、欧州中央銀行(ECB)の監督下にある金融機関は昨年、過去最高となる1740億ユーロ(1890億ドル)相当のSRTを組成している。

法律事務所のクリフォード・チャンスによると、金融機関は融資の一部リスクを軽減することで、潜在的な損失をカバーするために確保しなければならない資本を大幅に削減することが可能になる。市場関係者2人によると、銀行は通常、融資ポートフォリオの7─12%ほどに相当する損失リスクを外部に移せるという。

投資家にとっては、上場している多くの債券資産よりもリターンの変動が小さく、融資プールの質によっては、銀行に提供する保証に対してクーポンの形で高い見返りを得られるという点で魅力的だ。

バークレイズのコーポレートローンポートフォリオマネジメント部門の幹部ジェイソン・マーロー氏は「投資家の関心は高まっている」とし、これまでSRTの組成頻度が3年に1回程度だった銀行が年に「1回または複数回」のペースで組成可能になっているという。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、クルスク州の完全奪回表明 ウクライナは否定

ワールド

トランプ氏、ウクライナへの攻撃非難 対ロ「2次制裁

ワールド

イラン南部の港で大規模爆発、14人死亡 700人以

ビジネス

アングル:ドバイ「黄金の街」、金価格高騰で宝飾品需
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 6
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 7
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 8
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 9
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 8
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 9
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中